第808話 【番外編】アマビエさん、言い張る

「かさばらない」


 まだ言っている。かさばるって言われたのがよっぽど嫌だったようだ。


「分かりましたから、鉄板に触らないでくださいね。熱いから」

「うい」


 僕は刷毛で鉄板にたっぷりと油を塗り、温度を最高まで上げた。手をかざして、十分な熱気が上がってくるまでしばし待つ。


「温まったかな」


 満足がいったら、次はくぼみの真ん中くらいまで生地を流す。周りが固まってくるまで、このまましばらくおあずけだ。


「最初に入れる具は何にするの? 全部は無理よね」


 クタベさんに問われて、僕はしばし考えた。たこ焼き器は六個×五列の並び。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る