第778話 【番外編】アマビエさんより鬼がいる

 守銭奴の見本のような台詞であった。


「お代をいただくからこそ、やる気も責任感も生まれるのですよ」

「やっぱりキャンセルで……」

「返品交換不可となっております」

「鬼ー!!」


 僕は抗議したが、百戦錬磨のヨゲンノトリさんに叶うはずもなかった。



 次の土曜、ヨゲンノトリさんは約束の時刻ぴったりにやってきた。


「お邪魔します……これはこれは」


 室内を一目見て、ヨゲンノトリさんはさっとマスクをつける。


「埃と、古い紙……あとは洋服の臭いか。ま、生ゴミじゃないだけましだな」


 黒い頭がため息をついた。


「当たり前ですよ」

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