第755話 アマビエさん、引き出しをのぞく

 薬局長の号令で、皆が作業にとりかかった。


「上にはないぞ」


 アマビコさんが長い腕を伸ばして、上の棚を素早く調べる。


「下の引き出しにもないわよ」


 クタベさんが確認しながらつぶやく。


「同じ並びにはないとすると……」


 先発品の「り」付近にないとすると、次はジェネリックの「り」の棚だ。読みが同じだから、うっかり入れてしまったということはありうる。こうなってくると、もう過去の自分との心理戦だ。


「そっちはどうかな」

「うーん、ないですねえ」



【薬局あるある】

ない薬を探す時には、推理ゲームのように皆で思考をぶつけあう。

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