第698話 【番外編】アマビエさん、定番を称える

 僕が聞くと、薬局長は魚の一種だと答えた。


「昔は京都の方でとれたらしいけど、今じゃほとんど出回ってない魚らしいよ。だから、適当な小魚の佃煮でいいんじゃないかな」

「へえ」


 僕がうなずいている間に、アマビエさんたちは鮭と昆布でお茶漬けを食べ終わっていた。


「定番は偉大ですねえ」

「うむ」


 これでなんとなく、お開きということになった。僕たちは片付けを手伝うつもりだったが、薬局長夫妻に堅く断られ、その上奥さんのクッキーまでもらって帰路についた。


「今度はこちらがごちそうしたいわね。もらいっぱなしになっちゃったわ」

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