第697話 【番外編】アマビエさん、無の表情

「試してみる? 塩ならあるよ」


 というわけで、アマビエさんと事務の子に塩茶漬けが配られた。お茶を注いだご飯に、本当にひとつまみ塩を入れただけである。


「どうですか?」

「…………」

「…………」


 ふたりとも、完全に「無」の表情になっていた。どうも粋人の好みは、凡人にはレベルが高すぎたようである。


「味はどう?」

「塩味」


 それ以外に答えようがないらしい。そりゃそうだろうな。


「もう少し出汁かなにかあれば違うのかも……」

「うまく作れたら呼んでくれ」


 アマビエさんは早々に撤退を決め込んでいた。


「ゴリってなんですか?」

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