第637話 【番外編】アマビエさん、グリグリされる

「他には?」

「梅干しは」

「それも食べたことある。つまらんな、お前」

「ちょっと聞き捨てなりませんね。定番は愛されているからこそ定番なんです。馬鹿にしちゃいけませんよ」

「定番の具はどれも好きだ。我が馬鹿にしているのはお前の貧弱な発想力だ、ヤクザ」


 腹が立ったので、ちょっとアマビエさんのこめかみをグリグリってしてみた。


「おおおおおお」


 思っていたより効いた。


「喧嘩しないで。そうだなあ、この前うちで豚の角煮を作ってみたけど、ご飯によく合ったよ」


 薬局長が言う。聞いただけで、僕の口の中に唾がわいてきた。


「いいなあ……」

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