第569話 アマビエさん、ぽんこつ

「いいんです、内輪にしか分からない自虐なので」

「薬剤師さん、あとひと瓶開けてください。今日はそれでいけると思います」


 自虐の波に飲みこまれかけていたところを、看護師の声に救われた。僕が最後の瓶を調整し、監査してもらって引き渡す。


「じゃ、片付けますか」


 来た時と同じように道具をアルコールで拭き、元の通りにしまう。防護服は使い捨てなので、そのままゴミ箱に放り込んでおしまいだ。


「アマビエさんも防護服、脱いでください」

「体液で張り付いて脱げなくなった」

「ぽんこつ」




【薬局あるある】

 汗でビニール手袋が脱げなくなる。

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