第563話 アマビエさん、単純

「まあ、関門は突破したからいいではないか」

「アマビエさん、まだ終わりじゃないんですよ」


 ワクチンの瓶を手に持って振りながら、僕はため息をつく。ここから、接種用の注射器でワクチンを吸わなくてはならない。


「シュッと吸ってパッと出せ。アマビエのように」


 またアマビエさんは低く唸り始めた。そう簡単にいくなら、苦労はない。


「わー、また針もシリンジも変わってる。前のが使いやすかったのに」

「いっぱい空気が入りますよ、これ。あんまり叩いちゃいけないワクチンなのになあ……」



【薬局あるある】

 使いにくい注射器に当たると泣けてくる。

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