第389話 アマビエさん、上流階級

「毎日使う物ですから」


 昔は製薬メーカーが付箋やらメモやらたくさんくれたらしいが、今は不景気なのと「過剰な宣伝は控える」ということですっかりご無沙汰だ。


「打ち間違いはよく出るしね。使える物は使わないと」

「暇な時の仕事にもなりますしね」

「……だからアマビエさん、その一万円札はしまってください。大丈夫ですから」


 哀れみの表情を浮かべる人外を説得するのに、しばらくかかった。


「後は、何をすればいい」

「うーん、打ち損じの始末は……名前が見えるからダメですね」



【薬局あるある】時々もらえる変なノベルティが楽しみ。

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