第323話 【番外編】アマビエさん、肉を要求する

 語彙力が消失した。真の美味の前には、人間の理性など無力である。僕たちは結局、最初に盛られた皿の肉を空にしてしまった。


「じゃ、そろそろ煮込むね」


 肉がなくなったところで、社長は鍋に割り下を投入する。そこに、野菜と白滝をひととおり入れた。


「肉を入れよ」

「硬くなるから、煮えるまで待って」

「肉うううう」


 アマビエさんが暴れ出した。鍋が出来上がるまで、この食欲魔神の気をそらすものが必要だ。


「あ、そうだ。さっき色々描いたでしょ? どれが一番気に入ったか、選んでもらおうかな」


 センセイがとても素敵な助け船を出してくれた。

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