第300話 【番外編】アマビエさん、お菓子を食べる

「ごっ」

「ごっ」

「五千万!?」


 僕たちは一斉に驚きの声をあげた。


「お兄ちゃん、五千万円っていくらだったっけ」

「妹よ、正気に戻れ」


 けっこういいところにマンションが買えるお金を、車に。庶民には信じられなかった。


「ぼりばりぼり」


 その車の中で、アマビエさんはせんべいをかじっている。カスが落ちるのも全然気にしていない。


「なんでこの車、買おうと思ったんですか……」

「だって、移動時間も仕事できるじゃない。俺、リムジンくらいの広さじゃ落ち着かないし。これならモニターだって置けるしね」


 意外と真面目な理由だった。

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