第230話 アマビエさん、戻りました

 僕と事務の子は抗議の声をあげた。


「大丈夫だよ。今のスマホは高性能だから」

「恥ずかしいから嫌です!」

「お願いしますよ」


 スーツの社員が、揉み手をした。


「薬局長だけじゃ、若い人は応募しにくいかもしれません。事務の募集だから、先輩は映ってないと」

「……やるわよ! やればいいんでしょ!!」


 僕たちは、ヤケクソで撮影をした。ベストとは言いがたいが、写真は採用される。


「じゃ、二階を……」


 そう言いかけた社員が、固まった。視線の先には、アマビエさんがいる。



【薬局あるある】わざと浮かべた笑顔のうさんくささが、写真にも出る。

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