第217話 【番外編】アマビエさん、引き取られる

「アマビエ、ここで寝ちゃダメだ。帰るよ」

「んあ……」


 アマビエさんは半目を開き、あくびをした。そして、社長にしっかり抱きつく。


「今日はありがとう。また誘ってやってね」


 保護者の顔になった社長が、颯爽と退場する。女性陣から拍手が起こった。


「くそっ、甘やかされおって。俺も」

「誰かいるんですか?」

「タクシーを呼ぶ」


 あくまで張り合おうとするアマビコさんを見ながら、僕はため息をつく。


(妖怪って、謎だらけだよなあ……)


 仲良くしているように見えても、まだ踏み込めないところがある。それが当然だと思うが、歯がゆくもあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る