第182話 【番外編】アマビエさん、伸び縮み

「何をする」

「髪をまとめようとしただけですよ」


 説明すると、つまらなさそうに鼻を鳴らされた。


「それなら最初にそう言え」


 アマビエさんが頭をひと振りすると、髪の毛が縮んでボブカットになった。


「体の色と同じく、伸縮自在である」


 悩んでいた自分が馬鹿らしくなってきた。


「向こうが湯か」

「そうですよ。走らないでね」


 アマビエさんは浴場に足を踏み入れる。一気に押し寄せてきた湯気に、顔をしかめていた。


「ほら、いきなり入らずにかけ湯」


 僕はアマビエさんに、湯船からくんだ湯をかけてみた。果たして、耐えられるのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る