第129話 【番外編】アマビエさん、怒る

「……しぬ」

「キツそうだから、アマビエさんはお休みしよっか」


 アマビエさんは、妹に抱きついて震えていた。


「しかし不思議ですね。海で生きているのでしょう? 泳ぐための筋力は、どうしているのでしょうか」


 センセイが疑問を呈する。言われてみれば、その通りだった。


「海藻のように、頼りなく揺れているに決まっている」

「プール、行く」

「おう。望むところだ」


 アマビエさんの目に光が戻った。階段を降り始める。


「ああ、待って……」


 全員で追いかけた。泳いでいたおばさまたちが、ぎょっとして固まるのをよそに人外たちは水へ飛び込む。

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