第105話 アマビエさん、不在中④

 僕はいつものように、調剤皿に粉を出す。そして、片方の投入口にそれを入れた。


「これで、速度は三くらい?」

「はい」

「間違いじゃないよ。でも、満点はあげられないね」


 薬局長は言う。何か工夫が必要なようだ。


「ううーん……」

「ヒント。粉が落ちる時間」

「半分の日数ずつ作るとか」

「それだと、入力する手間がかかるよね」


 頑張って考えたが、ズレているようだ。


「僕ならこうするよ」


 薬局長は、乳糖を二つの口に分けて入れた。


「投入口を一緒に動かせば、倍速で動くよね?」

「ああー!」


【薬局あるある】単純なことほど、なかなか気付かない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る