第72話 アマビエさん、疑う

「同じなのに安い。それなら量を減らすしかあるまい」

「ちゃんと同じ量ですよ。国の審査も通ってます」

「詐欺では?」


 アマビエさんは、まだ口を尖らせている。


「人間界の涙ぐましい話になるんですが」

「ほう」

「まず、ある会社が薬になる成分を発見します。何年、何十年もかけて」

「そんなものではないか」


 数十年は、人外にとってそう長い時間ではないようだ。


「研究員の中には、ひとつも新薬を発見しないまま退職する人もいますからね。それくらい大変なんですよ」


 薬局長が言い添えた。


【薬局あるある】疑いがある方には、丁寧に説明します。

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