第56話 【番外編】アマビエさん、学ぶ

 わしわしと苺を完食したアマビエさんだが……依然として、チョコレートには手をつけようとしない。


「あ、チョコトリュフだ! もらってもいい?」

「淑女がフンを口にしてはならぬ」

「だからフンじゃないって」


 僕は目の前で食べてみせたが、アマビエさんは厳しい表情のままだ。


「薬局長、お願いします」

「はは。アマビエさん、怖い物じゃないですよ。一緒に食べましょう」

「……共に行こう、地獄へ」


 アマビエさんは決死の覚悟で、トリュフを口に投げ入れた。


「……!」


 疑惑の表情が徐々に消え、アマビエさんの頬が赤くなる。


「美味い」

「でしょう?」

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