第55話 【番外編】アマビエさん、食す

 全員がケーキにかぶりつく。そしてふにゃあ、と顔がゆるんだ。


「美味しい~ 苺が最高!」

「カスタードもいいバランスだね。甘味と酸味がしつこくないよ」

「昔はケーキの苺って、もっと酸っぱかったですよね。薄かったし」


 人間たちが口々に感想を言い合う中、アマビエさんは黙ってケーキを噛みしめている。


「どうでした? やっぱりしょっぱくないとダメですか?」

「百年豊作が続くであろう」

「それ、もう予言じゃないですよね」


 単なる感想でも、ついいつものクセが出てしまうようだ。しかし気に入ってもらえたなら、わざわざ行った甲斐があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る