第7話 アマビエさん、再来

薬局が混み合う昼時、またアマビエさんがやってきた。他の人にぎろぎろと視線を送っている。


「浮いてるな」

「浮いてますねえ」


薬局長と僕は、苦笑いする。


「アマビエさん、前と同じ処方ですね」

「そっちの方が軽い処方だから、先に出しちゃって」

「分かりました。帰ってきたら一包化手伝います」


打ち合わせをしていると、電話が鳴った。


「はい、水木薬局です」

「分譲マンションのご案内な」

「いりませんハイ失礼します」


力強く「切」のボタンを押す。


【薬局あるある】忙しいときにマンション購入をすすめる電話がかかってくる。鬱陶しい。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る