ドリームブログ

ジェリージュンジュン

第1話

ある日



パソコンに見慣れない画面が映し出された



それは




『ドリームブログ』




そして




そこには、こう書かれてあった





≪あなたの願い、叶えます≫





と。





*


――2009年。





私の名前は、ユウコ。


私には、世の中で最も愛している人がいる。



それは、夫のカズヤ。



25歳で結婚して、来月で3年。



幸せだ。


幸せでたまらない。



毎日、夕食のあとは、2人だけのまったりとした時間が流れる。


この日も、そうだった。



私は、レモンティー。


カズヤは、ミルクティーを片手に。



「ねえ、カズヤ。カーテン、新しいのに変えようか?」


「そうだね」



私の問いかけに、カズヤはニコニコ笑う。


あの色がいい。


この柄がいい。


たわいもない会話が楽しくてたまらない。



「ねえ、カズヤ。来週、新しくできたイタリアンの店に行ってみない?」


「うん、いいよ」



私のお誘いに、カズヤはニコニコ笑う。


何を食べようか。


ワインも頼んでみようか。


想像は、膨らむばかり。


でも、その店の料理の値段を知って、行くのは取りやめ。


お金に余裕がある時に行くことに。


その時までのお楽しみ。



「ねえ、カズヤ。今年こそ、子供欲しいね」


「そうだね、できるといいね」



私のちょっと恥ずかしい要望にも、カズヤはニコニコ笑う。


結婚した当初から、子供は欲しかった。


だけど、なかなかできない。


こればっかりは、どうしようもない。



でも、私は幸せだった。



私は、カズヤの笑顔が大好きだった。



共働きで暮らしてきた私たち。


とびきり裕福という生活でもなかったけど、節約するのも、また楽しみの一つだった。



毎日が楽しくてたまらない。



私たちには、明るい未来しかなかった。





だけど、この3日後。

カズヤは、交通事故で亡くなった。







カズヤが亡くなってから2ヶ月間。



私は、荒れに荒れていた。


事故の原因は、仕事帰りに、カズヤの運転する車がスリップして、ガードレールにぶつかったため。


その日は、どしゃぶりの雨だった。


加えて、夜も遅く視界が悪かったのも原因のひとつ。


どちらかというと、電車で会社に行くことが多いカズヤ。


でも、たまに、仕事が遅くなる日などは、車で行くこともある。


そういう偶然も事故に繋がったんだろう。



一瞬。


一瞬で、カズヤは命を失ってしまった。



眠れない。


食べれない。


そして、泣きじゃくる。



私は、荒れに荒れていた。


当然だよね。


いままで、大好きで大好きでたまらなかった人が、いきなりいなくなっちゃったんだから。



でも、そんな私も、最近になって、やっと落ち着いてきた。


少なからず、時間の経過が私を落ち着かせてくれたようだ。


友人や家族。


みんなに支えられて、私は、少しずつ立ち直ることができた。


ありがとう。


みんな、ありがとうね。



前に進むからね。



どんなに辛くても、私は前に進むからね。



「さてと」



私は、とりあえず、散らかり放題になっている部屋の片付けにとりかかった。


明日は、会社の同僚のサトミが、うちに遊びに来る。


夕方の5時に来るから、一緒にうちで鍋をする予定。


最近は、サトミがよく遊んでくれる。


多分、私を元気づけようとしてくれてるんだろうな。



ありがとう。


ありがとうね、サトミ。

「あ~あ」



しかし、まいったな。


この2ヶ月間、ほとんど、何もしていなかったからな。


部屋が、無茶苦茶に散らかってるな。



早く片付けなきゃ・・・



「キャッ!」



私は、電気の延長コードに足をひっかけてしまった。


このコードは、普段からちょっと危ないかなとは思っていた。


さらに、この散らかったゴミが、危なさに追い撃ちをかけたようだ。



ふう。



こりゃ、本気で片付けなきゃ。



このままじゃ、この部屋は、ごみ屋敷として近所で有名になってしまう。



「よいしょ」



私は、床に散らかっていた雑誌を手に取った。


そして、本棚に戻そうとした、その時、



「あっ・・・」



パソコンの画面が目に入った。



「そういえば・・・」



私は、あることを思いだした。


それは、カズヤのブログ。


カズヤが、毎日かかさずやっていたブログのことを思いだした。



あぁ。



そういえば、よく私も、カズヤのブログを見ていたな。



遊園地に行って、夜遅くまで遊んだこと。


バイキングのお店で、お腹いっぱい食べたこと。


バーゲンに行って、お財布がからっぽになるまでショッピングしたこと。



私のことも、よくブログにアップしてくれたっけ。


まあ、あまり私の変なことは書かないでって、怒ったこともあったけど。


今じゃ、それもいい思い出だな。



「カズヤ・・・」



ポチッ。



私は、パソコンの電源を入れた。



前に進まなきゃいけないのに。


ついさっき、そう決めたばっかりなのに。



「カズヤ・・・」



私は、懐かしさのあまり、そして、カズヤの匂いを感じたいために、ブログを開こうとした。



ブックマークでお気に入り登録しているカズヤのブログ。



カチッ。



私は、ブログのアドレスをクリックした。




――すると。



「あれ?」



画面に、カズヤのブログは映し出されなかった。



なんで?


なんでだろう?


私、ちゃんと、カズヤのブログにクリックしたはずなのに。


私は、全く意味が分からなかった。


その代わり、



「これは・・・?」



画面には、大きな文字でこう書かれていた。



「ドリーム・・・ブログ・・・?」



そう。



『ドリームブログ』と書かれていた。



な、なんだ?


なんだ?


なんだ??



ドリームブログ?



このアドレスは、カズヤのブログに繋がっているはず。


でも、たどりついたのは、別のサイト。



いったいどうなってるの?


そのあとも、何回か試してみたが、カズヤのブログにたどりつくことはなかった。



なんだ?


故障か?



まいった。


まいった、まいった。



私はあまりパソコンに詳しくないから、こういう場合の対処方法は分からないぞ。



う~ん。



また今度、誰かに聞いてみるか。


あっ、そうだ。


明日の夕方5時に、サトミが、うちに遊びにくるんだっけ。


じゃあ、サトミに聞いてみようかな。



よし、そうしよう。



これからは、ちょっとずつ、パソコンのことも勉強していかなきゃいけないな。



「とりあえず・・・」



今日は、パソコンを閉じようかな・・・



ん、まてよ。



ていうか・・・



「これってなんなんだろ・・・」



私は、もう一度、パソコンを覗きこんだ。



そう。



『ドリームブログ』



このタイトルが、ちょっと気になったからだ。



なんだろう?


なんなんだろう、このサイトは?



とりあえず、私はトップページの文章に目を通し始めた。


え~と。



なんて書いてあるのかな?


すると、そこには、こう書かれてあった。




《あなたの願い、叶えます》




大きくこう書かれてあった。



ハハッ。



なんだか面白そうだな。



私は、続けてその次の文章も読んでみた。




《ブログテーマを決めて、記事を書きこんでください》




へ~。




《ただし、ブログテーマは変えられません》




ほ~。




《そして、願いを書くさい、直接的な書き方は、効力を発揮しません。記事の書き方にはお気をつけて》




ふ~ん。




《願いが叶った場合、その願い相当の痛みをともなう代償を、あなたは受けることになります》




ひゃ~。




《そして、願いが叶ったとしても、料金はいっさいいただきませんのでご安心を。ですが・・・》




ですが?




《代わりに、あなたの思い出をいただきます》




え?




《あなたの幸せをお祈りしています。では、楽しいブログを始めましょう》




私は、目がてんになった。



思い出を・・・いただく・・・?



クスッ。



そして、次の瞬間、思わず笑ってしまった。



あまりにもバカバカしい内容だったからだ。



料金の代わりに『思い出をいただく』か・・・



てことは、1つ願いが叶えば、過去の記憶が1つ無くなるってことか。



ハハッ。


なんだ、こりゃ。


ネットっていろんなものがあるんだな。



「よし」



私は、一度だけ書きこんでみることにした。



どうせ、無料だし、話のネタにはちょうどいいかも。



私は、占いなんかは信じない性格。



だから、こんな子供だましのサイト、信じるわけがなかった。




暇つぶし。


完全に暇つぶしだ。



しかし、そう思う反面、こうも思っていた。



『願いが叶ったら、思い出をいただく』と書いてあった注意書き。



それを見た時の私は、こう思っていた。



カズヤとの思い出が消えてくれればいい。



こう思っていた。



カズヤとの楽しかった日々の記憶が無くなればいいなんて、間違っているかもしれない。



分かってる。


分かってるよ。



でも、私は、そうなったほうが前に進めそうな、そんな気がしたんだ。



少しでも、思い出に縛られることがなくなれば。



私は、前に進める。



そんな気がしたんだ。




――2分後。




「えっと・・・」



私は、頭を悩ませていた。


とりあえず、ブログテーマを決めなきゃね。


う~ん。


何がいいかな。


このアドレスは、元々、カズヤのサイトだったんだから・・・



《大好きな夫》



うん。



ブログテーマはこれでいいかな。



ハハッ。



思い出が消えたらいいなんて言いながら、ブログテーマが『大好きな夫』なんて。



完全に矛盾してるよね。



ハハッ。



やっぱり無理だよね。


カズヤのことを忘れるなんて無理だよね。



とりあえず、ブログテーマは『大好きな夫』に決定。



さてさて。


何を書こうかな?



あっ、そういえば、直接的な書き方は、ダメなんだよね。


てことは『お金が欲しい』とか『大きな家が欲しい』って書き方は、アウトってことか。



う~ん。


どうしようかな~。



あっ、こういうのでいいかな。



「よしっ」



私は、キーボードを打ち始めた。



え~と・・・



カタカタカタ。




《私の夫は、イタリア料理が大好き。その影響か、私も大好きになってしまった。ということで、最近、近くに出来たイタリアンのお店にすごく行ってみたい。でも値段が高くてなかなか行けない。あ~あ、どうにかして、あのレストランでフルコースを食べる方法はないかな》




よし。


なかなかの出来だ。



これで、うまくいけば、イタリアンのフルコースが食べられるってわけか。



おっ。


なんだかワクワクしてきたな。



私は、少しテンションが高くなっていた。


なんでだろう。


初めは、子供だましの幼稚な内容だと思っていたのに。


いざ、書き込んでみたら、すごくワクワクする。



なんでだろう。



あぁ、そうか。



ひょっとして、なんでも良かったのかもしれないな。


なんでもいいから、とにかく前に進む。


何かを始める。


こういうのが、今の私には大事なのかな。



「おっと」



パソコンに夢中で、すっかり部屋の片付けを中断してしまっていた。


早く片付けなきゃな。


このままじゃ、サトミを、ゴミ屋敷に招待してしまう。


私は、散らかり放題になっている部屋を、ひとつひとつ整理していった。



ひとつ片付けるたびに、ひとつ、気持ちの整理をしながら。



ひとつ片付けるたびに、ひとつ、過去の傷を乗り越えて。




私は、部屋の片付けを黙々とこなしていった。




――次の日。




ピンポーン。



ん?


誰だろ?



私は、目覚まし時計に目をやった。


今は、朝の10時半。


おっと。


仕事が休みだから、ゆっくり寝過ぎちゃったな。



ていうか、誰だろ・・・



ガチャ。



「おはよう、ユウコ」



え?



「ユウコ、寝てたでしょ?」


「う、うん」



あれ?


サトミ?



そこに立っていたのは、同僚のサトミだった。


でも、おかしいな。


サトミがうちに来るのは、夕方の5時のはず。



「サトミ」



私は言った。



「ちょっと早くない? まだ、朝の10時半だよ」


「うん、実はね」



サトミは言った。



「今日は予定変更。ちょっと行きたいとこがあるんだ」


「え?」


「だから、早く来ちゃった。ごめんね、こんな時間に」


「ううん。それはいいんだけど。どこに行くの?」


「あのね」



サトミは言った。



「この近くに、最近出来たイタリアンの店があるでしょ」



え?



「そこに行ってみたいんだ」


「そ、そうなんだ」



え?


え??



あのイタリアンの店??



ちょっ、ちょっと待って!


昨日、あのブログに書きこんだすぐに、あの店に行くことになるなんて。



私は、胸がドキドキし始めた。



ひょっとして、


もしかして、



あの店のフルコースを、サトミがおごってくれるとか??


そうすれば、私の願いが叶ったことになる。



私の胸は、さらに高鳴り始めた。




――しかし。

その期待感は、すぐに終息を迎えた。



サトミの話では、どうやら、その店はランチもやっているらしい。



選べるパスタにピザ、サラダがついて、食後に、コーヒーとデザート。


値段は1300円。


ディナーと違ってランチは、私たち一般OLにも気軽に手が出せる料金設定だ。


しかも、別にサトミのおごりというわけではない。


きっちり、ワリカン。



ハハッ。



なんだ。



一瞬、あのブログに書いた事が本当になったと思ったのに、フルコースからはほど遠いな。



やっぱりね。



あんなサイトで、胸が踊った自分が恥ずかしいや。



でも、まあ、いいや。



結果的には、願いが叶ったようなもんだ。


安いランチでも、あの店の味を楽しむことができるんだから。



よし。



めいっぱい、ランチを楽しむぞ。




――2時間後。




私たちは、その店でイタリアンのランチを満喫していた。


さすがは人気店。


30分並んで、ようやく席に座ることができた。


ふう。


しかし、おいしかったな。


なるほど。


こりゃ、人気が出るわ。


ランチでこのクオリティーなんだから、ディナーのフルコースなんか、いったいどれぐらいおいしいんだろう。


まあ、いいか。


また、お金に余裕がある時のお楽しみだ。



とりあえず、コーヒーとデザートを堪能するか。



「お待ちどうさまでした。食後のコーヒーとデザートをお持ちしました」



おっ。


きたきた。



さてと、砂糖は2つ入れようかな・・・



すると、その時。



ガシャン!



「キャッ!」



店員のお姉さんが、私にホットコーヒーをこぼしてしまった。



「熱い!」



私は、おもわず叫んでしまった。


そう。


こぼれたコーヒーは、見事に私の左手に。



私は、軽いヤケドをしてしまった。




あ~あ。



なんか、最悪。



ヤケドはたいしたことないけど、せっかく、いい気分だったのに、なんだかぶち壊された感じだ。



「すみません! お客様! 申し訳ございません!」


「い、いえ、大丈夫ですよ」



かといって、こんなに謝ってくれる店員さんにキレるわけにもいかないし。



まあ、いいか。



代わりのコーヒーさえもらえれば。



と、私はこんな気持ちだった。



だが、10分後。



ここから事態は、急激に変化した。



「お客様、申し訳ございません」



デザートを食べる私たちの前に現れたのは、この店の支配人だった。



「これは、ほんのお気持ちです。このたびは申し訳ございませんでした」



そう言うと、支配人は私に何やら、1枚の紙を手渡した。



「あっ!」



私は、目を丸くして驚いた。



そう。



その紙は、無料招待券。



この店のディナーフルコースの招待券だった。



うそ。


うそ、うそ。




『ドリームブログ』




うそ。


うそ、うそ。





願いが、叶った。


――2日後。




あれから、私は考えていた。



本当に、あのブログに書いたからなのか。


だから、願いが叶ったのか?


そればかりを考えていた。


でも、そんな夢みたいな話があるわけがない。


あるわけない。


あるわけがない。



だが、そう思いながらも、1つ、しっくりくるとこがある。



それは、ドリームブログのトップページに書いてあった注意書き。



あのサイトの説明書きには、こう記してあった。



《願いが叶った場合、その願い相当の痛みをともなう代償が、あなたに与えられます》



こう記してあった。



確かに私は、フルコースの無料招待券を貰ったが、そのかわり、軽いヤケドを負ってしまった。



これが、願いに対する代償。


痛みをともなう代償。



ほぼ、それで間違いないだろう。



でも、そうなると、もう1つのことがしっくりこない。



それは、もう1つの注意書き。



《願いが叶ったとしても、料金はいっさいいただきませんのでご安心を。ですが、代わりに、あなたの思い出をいただきます》



このことだった。



分からない。


これが分からない。



というのは、私の『思い出』が消えた感覚が全くないのだ。


う~ん。


どういうことなんだろう。


『思い出』といっても、私にとって、あまりたいしたことない『思い出』もあるわけで。


そういうのが消えてしまっても、何も支障はないわけで。



う~ん。



やっぱり、どうでもいい思い出が消えちゃったのかな?



あっ。


それとも。



思い出が消えたっていうことは・・・


もうすでに、私の記憶に残ってないから、なんとも思わないのかな。



う~ん。



こう考えるのが、一番しっくりくるかも。



はっ!


な、なにを考えてるんだ、私は!



これじゃ、あのサイト、ドリームブログを完全に認めてしまったことになるじゃないか。


ダメだ。


ダメだ。


そんなことを認めてしまったら、私の人格が疑われる。



あるわけない。


あるわけがない。



「でも・・・」



でもな・・・


実際、フルコースはゲットしたわけで・・・


だけど、そんな夢みたいなサイトがあるわけないし。


でも、実際に願いが叶ったわけだし・・・



「あ~、もう!」



考えてもわけわかんないや。



「よしっ」



もう1回、ドリームブログに書き込んでみよう。



そうすれば、はっきりするだろう。



ポチッ。



私は、パソコンの電源を立ち上げ、もう一度、願いを書くことにした。




――数日後。




私は、あれから2回、書き込んでみた。



ひとつめはこう。



《私の夫は、マフラーがすごく好き。私にも今年流行りのパープルのマフラーをつけてほしいとよく言っていた。確かに、あれがあったら、いま持っているワンピースとブーツにすごく合うんだけどな~。しかし、どんどん、私の服装が夫の趣味に染まっていくよ。まっ、そんな自分は嫌じゃないけどね》



こんな感じで文章を作成。



すると、次の日。



会社のお昼休みに、同僚のサトミが話しかけてきた。



「あのね、ユウコ、このパープルのマフラーいらない?」


「え?」


「実はね・・・」



サトミは言った。



「彼氏が私の誕生日プレゼントに、これと全く同じものをくれたのよ」


「そ、そうなんだ」


「2つ持っててもしょうがないから、私が買ったぶんをあげるね」


「本当にいいの?」


「うん。でも、私と一緒の時や、彼氏がいる前では、そのマフラーはつけないでね」


「う、うん」



驚いた。


まさか、こんな形でゲットできるとは。


だが、そのマフラーを入れていた紙袋のはしっこで、右手の人差し指を少し切ってしまった。



まあ、バンソウコウ1枚で処理できる小さな傷だったが。



う~ん。



これが『願い』に対する『痛みをともなう代償』だろうか。




ちなみに、今回も『思い出』が消えた感覚は全くなかった。




そして、2つめはこう。




《何ヶ月か前に、近くに新しい賃貸マンションが建ったみたい。ちなみに、今住んでいるマンションは、築25年のけっこうボロボロのマンション。あっ、こんなこと書いたら、大家さんに怒られるかも。でも、今と同じ家賃なのに、向こうは、最新の設備が揃っているなんてちょっとショック。夫は、ベランダの広さが気に入って、引っ越したいと言っていた。いずれは一戸建てを買うのが夢だけれど、今はそんなの無理だし・・・あ~、あんなマンションに住んでみたいな。でも敷金がいるしな・・・やっぱり当分は無理なのかな~》




すると、次の日。



いま住んでるマンションの大家さんがやってきて、私に謝り始めた。



「ごめんなさいね、急な話なんだけど・・・」


「どうしたんですか?」


「実は・・・」



大家さんは言った。



「2ヶ月後に、このマンションを潰して立体駐車場にすることにしたのよ」


「え?」


「こっちの都合で申し訳ないんだけど、それまでに引っ越してほしいの。その代わり・・・」



大家さんは言った。



「引越し資金として、それなりのお金は用意させてもらうから安心してね」


「は、はい」



驚いた。


まさか、こんな形で、引っ越すことができるとは。


しかも、大家さんから貰ったお金は、引越しして敷金を払っても、まだ余裕があるぐらいの金額。



すごい。


すごい、すごい。



まただ。


また、願いが叶ってしまった。



そして私は、来月、引っ越しをすることにした。



ハハッ。


嬉しいな。


あのマンションに住みたいとカズヤと話していたからかな。


やっぱり嬉しいや。



いや、違うか・・・



カズヤとの思い出が詰まったこの部屋で住むより、引越したほうが前に進める。



そう思ったからかな。


そして、



その日は、嬉しさのあまり、サトミを呼んで、家でカニを食べた。


奮発して買ったタラバガニ。


もちろん、味は最高だった。


だが、その晩、私は食中毒を起こしてしまった。



サトミが平気なところを見ると、どうやら、私だけが食べたカニミソが原因のようだ。



これが『願い』に対する『痛みをともなう代償』だろうか。



ちなみに、今回も、『思い出』が消えた感覚は全くなかった。



だが、この2つの出来事で充分だった。


とにかく、私は確信するしかなかった。



このサイト、『ドリームブログ』は不思議な力がある。



と。



3回も立て続けに願いが叶ったんだから、信じないわけにはいかなかった。



すごい。


すごいや。



私は、すごいサイトを見つけてしまった。



本当に願いが叶う・・・か。



あ・・・



「だったら・・・」



私は、とんでもないことを思いついていた。


そして、頭で考えるより早く、私の指はキーボードを叩いていた。



早く、


早く、


願いを書き込みたい。



カタカタ。


カタカタカタ。



私は、さらに、願い事を書き込んでいった。



「これで、もしかしたら・・・」



それは、こんな願い事だった。




《私の夫は、すごくよくできた夫。私の話をなんでも聞いてくれる。そしていつも笑顔で頷いてくれる。私は夫が大好きだ。もっといっぱい話したいな。これからもいっぱい話がしたいな》




あぁ。



いいんだろうか。


こんな願い事を書いていいんだろうか。



でも、この『ドリームブログ』の力は本物だ。


じゃあ、この文章で、亡くなったカズヤに会えるかもしれない。



カズヤは生き返るかもしれない。



私は必死だった。



カズヤが戻ってくるなら何でもする。



そんな気持ちであふれ返っていた。




――次の日。




「うわっ、届くかな」



夕暮れ時、食事の支度をしようとした私は、台所の上の棚に置いている鍋を取ろうとしていた。



ふう。



こんな高い所に置くんじゃなかったな。



いつもは、カズヤに取ってもらってたから問題なかったけど。



私の身長を考えると、こりゃ、これからは置き場所を考えなきゃダメだな。



――すると。



ガラガラガッシャン!



いたっ!



私の頭の上に、鍋やら、使わない頂き物の食器などが落ちてきた。



いたい!


いたい!



私は激しい痛みを感じ、おもわず、頭を押さえた。



「え・・・?」



すると、私の右手には、べったりと赤い血がはりついていた。



え?


え??



ま、まずい!


急いで救急車を呼ばなきゃ!




――2時間後。




ガチャ。



私は、搬送された病院から家に帰ってきた。



右の頭部を5針縫うケガ。


血がいっぱい出たので焦ったけど、結果的には、たいしたことはなかった。



ふう。


よかった、よかった。



さてと、



とりあえず、この鍋や、食器を片付けなきゃ・・・



ん?



「これは・・・」



なんだろう?


割れた食器類に混じっていたのは、ケースに入った1枚のDVD。



何これ?


なんで、棚の中に、DVDが??



とりあえず、私は、そのDVDを見てみることにした。



すると・・・


「あっ・・・」



それは、カズヤから私へのビデオレターだった。


おそらく、私にばれないように、この高い棚の中に隠していたんだろう。


撮影した日付は、カズヤが亡くなる3日前。


そのビデオレターの内容は、私たちの結婚記念日についてのものだった。



結婚記念日は、カズヤが亡くなってから、ちょうど2週間後。



私は、初めて知った。



カズヤが、私のためにこんな物を用意してくれていたなんて。


三脚に乗せたビデオカメラの前で、椅子に座って喋るカズヤ。


照れながら喋るカズヤ。


私への感謝の気持ちを喋るカズヤ。



私への愛の言葉を喋るカズヤ。



「カズヤ・・・」



ポロリ。


ポロリ、ポロリ。



私は、そのDVDを見て涙が止まらなくなった。



あぁ、カズヤ。


久しぶりだね。


久しぶりに話ができたね。



カズヤが喋る言葉の合間に、私はちゃんとあいづちをうってたよ。


そして、私も、自然と画面の中のカズヤに話しかけてたよ。



そして、ありがとうって言ったよ。



結婚記念日のために、こんなサプライズを用意してくれてありがとうって言ったよ。



カズヤ。


私もだよ。



私も、カズヤのことを世界中で1番愛してるよ。




あぁ、神様。


ありがとうございます。



カズヤの気持ちがこもったDVDを、私の前に届けてくれて。



ひょっとして、あのドリームブログは、神様が私にくれたプレゼントなのかな。


カズヤを失った私に、神様がプレゼントをくれたのかな。



カズヤは生き返らなかったけど、私は充分満足。



あぁ、神様。



ありがとう。



ありがとうございます。

――次の日。




私は、再びパソコンの前にいた。


人間というのは、欲深いものだ。


昨日、あれだけ満足したはずなのに、私の欲求はさらに膨れあがっていた。



カズヤに会いたい。


どうしても、会いたくてたまらない。


カズヤに触れたい。


カズヤに抱きしめられたい。


カズヤを近くに感じていたい。



私はどうしても気持ちを抑え切れなくなっていた。



だが、私がこうなってしまったのには、もちろん理由がある。



そう。



ドリームブログ。



このサイトに出会ってしまったから。



ドリームブログがあれば、願いは叶う。


書き方次第では、カズヤに会うことも可能だ。



私は、ベッドに入ったまま、一晩中考え込んでいた。


そして、昨日は、おそらく書き方がうまくいかなかったんだという結論に達した。


『カズヤと話がしたいな~』


というニュアンスで書いたからか?



私は、一晩じっくり考えていた。



カズヤを生き返らせる方法はないのか。



そのことを第一に考えていた。


でも、直接的な書き方ではダメだ。



『カズヤが生き返ってほしい』



なんて書き方はダメだ。



どうすれば?


どうすればいい?



パソコンの前で1時間ほど悩んだあげく私は、こう書き込むことに決めた。




《夫のカズヤはいつもかっこいい。性格もいいし、笑顔もかわいい。私は、そんなカズヤの側にいつもいるのが大好き。だって、ひとときも離れたくないもん。これからも、ずっとずっと、笑顔のかわいい愛する人の側にいたいな》




さてと・・・



これなら大丈夫。


大丈夫なはずだ。



私は、どんな痛みの代償でも受ける。


カズヤに会えるなら。


愛する人に会えるなら。


どんな痛みでも受ける。




だから、神様。





カズヤに会わせてください。

「よしっ」



書き込む決心をした私は、ついにドリームブログへのアドレスをクリック。



ポチッ。



すると、



「あれ?」



な、なんだこれは?



トップページに見慣れない注意書きが書いてあった。




《ユウコ様へ》




え?


私に?




《ドリームブログの使い心地はいかがでしょうか? さて、本日は、今まで使用された分の精算の報告です》




精算・・・?




《ユウコ様が叶えられた願い事は、現在、計4回。よって、合計14年分の思い出をいただきます》




え・・・?


ど、どういうこと・・・?




《内訳は、1回目が2年。2回目が1年。3回目が4年。4回目が7年》




???




《以上でございます。これからも、ドリームブログをお楽しみくださいませ》




私は、文字を見たまま、しばらく固まってしまった。



え?


どういうこと?



14年分の思い出?



どういうこと?



ちょっ、ちょっと待てよ。


落ち着け。


とりあえず、落ち着かなきゃ。



いったん、頭の中を整理してみようかな。




内訳によると・・・




『1回目が2年分の思い出』


これは、イタリアンのフルコースの時だな。



『2回目が1年分の思い出』


これは、パープルのマフラーの時。



『3回目が4年分の思い出』


これは、引っ越しが決まった時のこと。



『4回目が7年分の思い出』


これは、カズヤのDVDが・・・



あっ!



その時だった。



私の脳裏にとんでもない考えが浮かんだ。



私は、今まで、願いが叶っても『思い出』が無くなる感覚が全くなかった。


『痛みの代償』は、全て思いあたるふしがある。


でも、『思い出』の消失に関しては、全く分からない。


だけど、


だけど、


『14年分の思い出をいただく』と書いている。



「も、もしかして!」



ひょっとしたら、私は大きな思い違いをしていたのかもしれない。



過去の思い出。



私は、『思い出』は過去のものとばかり思いこんでいた。



でも、違う!


違ったんだ!



このドリームブログでいう思い出は、全く逆だったんだ。



未来の思い出。



『思い出』をいただくというのは、『未来の思い出』のことだったんだ。



未来に出来るであろう思い出。



それをいただくと言っているんだ。



「ま、まずい!」



大変なことになってしまった!



未来の思い出をいただくというのは、つまり、私の未来を持っていかれるということ。



それは、すなわちこういうこと。



寿命。



そう。



ドリームブログが願いを叶えたかわりに、私から奪っていくもの・・・




それは、私の寿命。


「う、うそ!」



どうしよう。


どうしよう、どうしよう。



もちろん、私の推測だから、当たってるかどうかは分からない。


でも、これが1番納得する。




私は、もう14年分も寿命を失ってしまった。




「う、うそでしょ・・・」



なんなのよ!


こんなもの、神様でもなんでもないわ!



死神。



このブログは、死神のブログだったのよ!



私は、ガタガタと震えだした。


この数日間の間に、14年分の寿命を失う。


それは、今まで経験したことのない恐怖だった。



どうしよう。


どうしよう、どうしよう。


どうし・・・



いや、待って・・・



私は何を焦ってるの。



私の未来なんか、カズヤが死んだ時点で、終わったも同然じゃないの。



そうよ。


そうだわ。



14年分ぐらい何よ。



私の未来は、カズヤがいなくちゃ意味がないのよ。



そう・・・


意味がないのよ・・・



だから・・・



ポチッ。




《夫のカズヤはいつもかっこいい。性格もいいし、笑顔もかわいい。私は、そんなカズヤの側にいつもいるのが大好き。だって、ひとときも離れたくないもん。これからも、ずっとずっと、笑顔のかわいい愛する人の側にいたいな》




私は、先ほど考えていた文章をドリームブログに書きこんだ。



いったい、この願いが叶えば、私は寿命をどれぐらい失うのか、全く想像もできない。



この4回の書き込みで分かったことだけど、願いが大きければ大きいほど、痛みの代償や失う寿命も、比例して大きくなるように感じる。



でも、いいんだ。



カズヤに会えれば、



一瞬でもいいから、もう一度カズヤに会えれば、私はそれでもいいんだ。




だから、お願い。



お願い、死神。





カズヤに会わせて。



――1年後。




私が、最後にドリームブログを書き込んだあの日から、1年が経った。


あれから、私は、ドリームブログを開いていない。


最後に書き込みをしたあの日から、そのブログを開くことはできなくなっていた。


あのブログへのアドレスをクリックしても、元のカズヤのブログへ繋がっていた。


いったい、あのドリームブログは、何だったのだろう?


今となっては、謎のままだ。



そして、あの日から1年経った今。



私は、カズヤと一緒にいる。



そう。



カズヤの生まれ変わりと。



「ママ~」


「はいはい、どうしたの? カズキ」


「絵本読んで、絵本。ウサギさんの絵本読んで」


「はいはい」




私は、笑顔で彼の頭をなでた。


彼の名前はカズキ。


私とカズヤとの子供だ。



妊娠が発覚したのは、あのブログを書いた3日後。


まさかと思い病院に行ったら、そのまさかだった。


妊娠10週目。


結婚してからずっとできなかったのに。


やっと、


やっと、妊娠した。


私は、嬉しさのあまり、涙が溢れてきた。



ポロポロ。


ポロポロと。



病院の先生も、もらい泣きするぐらいの泣きっぷりだった。



あぁ、カズヤ。




やっと、


やっと、あなたに会えたよ。



あのブログの力は、やっぱり本物だったよ。



だって、この子はカズヤそのものだもの。


笑顔なんか、あなたにそっくりなんだよ。



『ずっと、ずっと、笑顔のかわいい愛する人の側にいたい』



あの時のブログに、こういう書き方をしたからかな。



あなたゆずりの、かわいい笑顔を見せてくれるよ。



痛みを伴う代償。



確かに、出産の時は、激しい痛みだったな。


23時間にも及ぶ難産だったよ。



今までに味わったことのない痛み。


意識が飛びそうになるほど、経験したことのない痛み。



でも、


でもね、



こんな痛み、へっちゃらだよ。



だって、またあなたに会えたんだもん。


生まれ変わったカズヤに会えたんだもん。




でもね、カズヤ。



私は、これから何年生きられるか分からない。



この子を産んだことによって、失った寿命が何年か全く分からない。



そして、元々の私の寿命も分からない。


だから、私はあと何年生きられるか分からない。



でも、私は生きてみせる。



この子が、小学生になるまで。


この子が、成人式を迎えるまで。


この子が、結婚するまで。


この子の成長をずっと見ていたいから。



だから、


だから、



私はずっと長生きしてみせる。



でもね、私は、長生きできる自信があるんだよ。


私の勝手な推測だけどね。


なんだか、私は、あなたが使い切れなかった残りの寿命を受けとったような、そんな気がするんだ。



だから、


だから、一緒に生きていこうね。



あなたは、私の心の中で生きている。



ずっと、


ずっと、


生き続けている。




だから、これからも、






一緒に生きていこうね。





――数十年後。




「きれいな桜」



私は、病院のベッドに横たわりながら、窓から舞い散る桜を眺めていた。



カズヤ。



私は、もう75歳になりましたよ。



いいわね、あなたは。



年をとらないんだから。



私は、すっかりしわくちゃのおばあちゃんですよ。



あなた。



息子のカズキは、結婚して3人も子供がいるんですよ。



あなたに似て、笑顔のかわいい立派な男性になりましたよ。



あなた。



私は、けっこう長生きする人間だったみたいよ。



だって、あれだけの寿命を失ったのに、こんなに長生きできたんだから。



やっぱり、あなたが生きるはずだった未来を私が受けとったのかな。



でも、あなた。



私も、そろそろお迎えがきたみたい。


天国に行く時がきたみたい。



でもね、



私、ちょっと嬉しいのよ。





だってね。






やっと、






あなたに、会えるから。





ドリームブログ。





このサイトは、いったい何だったのかな?




神様が作ったもの?


死神が作ったもの?




いったい、何だったんだろう。



もしかしたら、



私の他にも、どこかで、このサイトに出会った人がいるのかな?



その人の願いも叶っていたらいいな。





その人の願いも・・・







――

―――

――――




――2009年の、とある日。




僕の名前はカズヤ。


妻の名前はユウコ。


結婚してもうすぐ3年。


とびきり贅沢な暮らしができるわけではないが、僕たちはとても幸せな毎日を送っている。



だが、ひとつ悩みがあった。


それは、子供ができないこと。



僕はどうしても子供が欲しかった。



愛するユウコとの子供が欲しかった。


だが、こればっかりはどうしようもない。


神様からの授かり物だからどうしようもない。



そう思っていた時、僕は、不思議なブログを発見した。



「あれ・・・?」



これは、僕のブログに繋がるアドレスのはず。


でも、開いてみたら、全く見たことのないサイトだ。



なんでだろう。



僕は、首をかしげながら、画面に映し出される文字を読んでみた。



「ドリーム・・・ブログ・・・?」



そこには『ドリームブログ』と書かれてあった。



そして、色々、注意書きを読んでみて分かったことだが、どうやら、このブログに書き込むと願いが叶うらしい。



ハハッ。



なんだか、面白そうだな。



ちょっとやってみるか。



じゃあ、ブログテーマは・・・



『大好きな妻』



と。



カタカタカタ・・・




≪僕は、ユウコと結婚してもう3年になる。子供がいたら毎日楽しくなるんだろうな。まっ、今でも充分楽しいんだけど、もっと楽しくなるんだろうな。一度、そういう生活も味わってみたいな≫




よしっ。


直接的な書き方でもないし、こんな感じでいいかな。



ハハッ。


こういうサイトは夢があって面白いな。



でも、『思い出をいただく』って何だろうな?


過去の記憶が消えちゃったりするのかな?


よく分からないな。



あと、『痛みをともなう代償』って何だろうな?



誰かに殴られるとか?


海でおぼれるとか?


あっ、それとも、





交通事故に遭うとか?



「おっと」



いけない、いけない。


明日は、残業しなくちゃいけない日だった。


今日は、早く寝なきゃな。



あっ、そういえば、明日は雨だって天気予報で言ってたな。




帰りも遅くなるだろうし・・・








よしっ。




明日は、車で行くか。





≪あなたの願い、叶えます≫











【END】




(あとがき)




実は、このお話、ちょっと、ラストで悩みました。


というのは、26ページから最後までの数ページを、入れるかどうかで迷っていたからです。


数十年後のシーンで終わらそうかどうか悩みましたが・・・


でも、実際、こっちのパターンを選びました。



結局、子供ができたのは、カズヤの願いが叶ったため。



だから、願い事が大きすぎたため、カズヤは、寿命を全て使い果たし、事故で亡くなってしまいました。



ユウコの願いは、『カズヤに似た笑顔のかわいい人』という部分だけが叶いました。



だから、



ユウコは、最後の願い事で、あまり寿命が減らなかったのです。



要は、こういうことなんです。



出産っていうのは、すごく大変なことで、命がけでするもので、この世の中で1番大きな願い事。



ということを、書きたかったのです。



とりあえず、このラストが良かったのかどうかは、今でもよく分かりません。


ですが、今回は、このパターンを選びました。




最後になりましたが、時間を割いてこのお話を読んでいただき、本当に本当にありがとうございました。







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ドリームブログ ジェリージュンジュン @jh331

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