59日目 Af部とPf部 終了
Af部とPf部の過去になにがあったのか芽果は話をアゲハに話している最中だ。
柄本会長はAf部の部室で暴れていた。造花という造花を壊し、部活崩壊寸前までにしていた。
〈柄本会長〉おりゃァァぉ〜!!
〈坂尾〉あの…… 誰か止めましょうよ?
〈二神〉無理だ、峰村先輩ですら止められないのなら俺たちは何もできない。お手上げだな((しかし、峰村先輩はそんなに今回は口出してないよな、なんでだろ?))
〈坂尾〉な、まじか
〈柄本会長〉おい、ごちゃごちゃうるせえな、お前らも手伝え
と、坂尾たちの方向を向いて手伝うように命令した。その時の眼は血走っていて、ハンターハンターのネテロ会長の本気の眼のような雰囲気だった。
〈坂尾〉や、やめときます……
坂尾は柄本会長に嫌悪感を抱き、断った。
〈柄本会長〉そうか、ならいい! おれがやる!
と、また破壊し続けた。
数分後、柄本会長の暴走は止まった。
〈柄本会長〉どうだ? 壊してやったぞ
〈亜音〉柄本くん! なにしてるの!? ここまでして欲しいなんて言ってない!
〈柄本会長〉あ? お前が壊して欲しいって言ったんだろ? それに俺は容赦しないぞ
〈亜音〉な……
〈柄本会長〉どうだ!? 璃音! お前の心の想みは取れたのか?
と、柄本会長は少しにこやかに璃音の肩をポンッと叩き、話した。
〈璃音〉……え?
この時、璃音は思った。柄本会長はただ単にこの部を壊しに来たわけじゃない。私の過去の重み、そして潰すという覚悟という元に行動し、暴れていた事を。すべて、この人は分かってたんだ。そうか、私の想みとは優勝とかじゃなくて部を勝手に辞めたこと、自分から『花』を嫌いになって、いつのまにか諦めてしまったことに対しての罪悪感、その想みだった。それを分かってて、柄本会長は、自分を鬼と化し造花を壊していた。『1度、ここを潰すからもう一度やり直せ』そう言いたかったんだろう。
そう思うと、私は涙が止まらなかった。誰が悪いとかじゃない。自分から逃げた事を気づかせてくれた。
璃音は、泣いた。大泣きした。
〈芽果〉璃音ちゃん……
すると、柄本会長は亜音の背中を押した。
〈亜音〉え、ちょっ!
〈柄本会長〉早く行ってこい
そして亜音は泣いている璃音に手を伸ばした。
〈亜音〉ん……
〈璃音〉亜音……
璃音はその手を掴み、立ち上がった。
〈璃音〉ありがとう
〈亜音〉いいの
そこに柄本会長が話した。
〈柄本会長〉おい、璃音! 好きな物を続けるって楽じゃないだろ? 亜音、大切なものが壊れていくところみて、心が痛かっただろ?
〈亜音〉うん、痛かった。自分の大切なものが…… 璃音が、こんなにも悲しい姿見るなんて、二度とみたくない!
〈璃音〉うん……
〈柄本会長〉そうだろな。璃音、いいか好きなものから逃げるな
〈璃音〉うん……
璃音は泣きながら柄本会長の話を聴いた。
〈柄本会長〉だけど、逃げたいと思う時は誰にだってあるし辛いこともある。時には休む事だって、大事だ。けどな、逃げ続けるな。その想いをまた花にぶつけてみろ、璃音も亜音もなにかを背負ってるものがあるのは知ってるから、気長に頑張ればいいんじゃないか?
〈璃音〉うん、ありがとう……
そこで、亜音も泣き出した。
〈璃音〉亜音、なんであんたがないてるの……
〈亜音〉うるさい!
〈璃音〉…… バカ、でもごめんね
〈亜音〉私もごめん…… また一緒に頑張ろうよ
〈璃音〉うん
〈柄本会長〉はあ…… じゃあな
柄本会長はため息ついて、出て行こうとした。
もう大丈夫と判断したのだろう。
〈璃音〉まって!
〈柄本会長〉ん? どした?
〈璃音〉ありがとう、柄本くん。また一から頑張ってみるわ
〈柄本会長〉あっそ、おい! お前ら帰るぞ
〈芽果・二神・坂尾 〉はーい!
柄本会長たちは背を向け生徒会室に戻って行った。
◇◇◇
芽果は、Af部とPf部の過去の話をし終えると、お茶を呑んだ。
〈芽果〉ふう…… ということよ、これが2つの部活の過去の出来事よ
と、芽果はコップを置いてアゲハの方へ振り向く。
〈アゲハ〉ぐす…… 良い話や、グス、グスタフアドルフ……
〈芽果〉な、泣いてるし! しかも、グスタフ・アドルフ? まあいいや
アゲハは今の過去の話を聴いて泣いていた。
〈アゲハ〉会長も人が良すぎ……
〈柄本会長〉やかましい! おれは悪魔なの!
〈芽果〉はいはい!
〈アゲハ〉でも、その件でまた仲直りしたならAf部はなんでまだあるの? それに会長が造花を全部壊したんじゃあ?
〈芽果〉あ、それね実はあの後、璃音ちゃんが生徒会室に来て、Af部はこのまま残して欲しいって、なんでも元々造花にも興味があったらしいの。あと、Pf部とAf部は合併することにしたの、これなら2人とも1からまた一緒に頑張れるって、亜音ちゃんも造花とプリザーブド両方やってるって
〈柄本会長〉それで、Af部を残したんだ。いいんじゃないか? それがアイツらの考えなら。それに、今では仲良く大会出たりしてるし、廊下でも仲良く話してるのたまにみるし
〈アゲハ〉なるほどです
〈二神〉いや〜 けど、あの時の会長カッコよかったな〜 あのセリフとか!
〈芽果〉うふふふ、ほんとにそれね!
〈柄本会長〉う、うるさい!
〈芽果〉なんか、怒る気もなくなったわ、セリフが重要でカッコよすぎて!
〈アゲハ〉ですね!
〈坂尾〉まあ、ちょっと怖かったけど
〈芽果〉アハハハ! あの顔ね! 怖かったけど、私は知ってるから面白かったわ
〈柄本会長〉勝手におもしろがってろ!
と、柄本会長は拗ねてしまった。
〈アゲハ〉好きなものを続けるって楽じゃない……か、たしかにそうかもね
〈芽果〉ん? 何か言った? アゲハちゃん
〈アゲハ〉いえ! なにもないです!
〈芽果〉そか!
アゲハにも柄本会長の言葉に思うところがあるようだ。
柄本会長は璃音と亜音に気づいて欲しくて、暴れたのだろう。亜音のAf部を潰したいというのは本気だったが、柄本会長は潰すことに乗った。何故なら、1度潰すことによりその大切さに亜音に気づかせるため。璃音には少し肩の力を抜いてあげるため。柄本会長は今回の亜音の言い出したことを利用し、すべてのことを前向きにさせようとしたのだ。璃音も今回の件で、また1から花と向き合い、頑張っているようだ。そして、2人の手懸けたフラワーアレジメントが大会で優勝という好成績を残し、学校では賞状を頂くほどのビッグニュースとなっていた。
柄本会長は、この偶然を使い絶望を希望へと変えた。もし、あの偶然が無ければあのまま変わることはなかったのかもしれない。
あの時、なぜ柄本会長はあの様なことを璃音たちに言ったのかは昔に似たような経験があったのか、そこは定かではない。誰も知らない。
1つ言えるのは、このまま仲良く変わらず頑張って欲しいと柄本会長は願っているという事だけだ。
ー 59日目 Af部とPf部 終了 ー 続く
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