ハッサン・サラーの反逆(資料)

資料


 今回は「ハッサン・サラーの反逆」を取り上げます。第

5シーズンの2話、通算では33作目の作品です。

 犯人はハッサン・サラー。

 中東系らしい架空の某国の総領事代理です。コロンボシリーズにはさまざまな職業の犯人が登場しますが、シリーズきっての特殊な職業でしょう。

 変わった設定は犯行計画にもいかされています。コロンボに追い込まれてきた終盤にも特殊な設定が効いてきます。

 シーズン5は変化球だらけで、基本的なコロンボのフォーマットに慣れていればいるほど「おぉ、そうきたか」となるはず。

 個人的な好みの話をすれば、第5シーズンには「忘れられたスター」に「闘牛士の栄光」にとお気に入りが二つも入っています。一応、伏せ字にしますが、二作品には×××に重要な情報が隠されているという共通点があります。どうやら、私はこの手の仕掛けが好きなようです。

 今回の「ハッサン・サラーの反逆」の目玉は「忘れられたスター」と「闘牛士の栄光」とはテイストが違うのですが、思わぬ展開が待ち受けているため、驚く視聴者が多いことは予想できます。ただ、この大仕掛けはきちんと本格ミステリのツボを押さえてあり、その点でも二重に驚かされます。

 偽装が瓦解する過程は、実に論理的な推理が積み重ねられており、実に本格ミステリしています。この作品の肝は、普通の本格ミステリで終わらない「その先」の物語です。詳しくは書きませんが、犯人の珍しい職業が深く関わってきます。

 サラーを演じたのは、ヘクター・エリゾンド(1936―)。最初の放送が1975年10月12日ですから、ヘクタール・エリゾンが40歳頃の作品です。ドラマ「シカゴ・ホープ」で有名な俳優。

 とにかく、このハッサン・サラーという人物、嫌なやつです。「ビデオテープの証言」のハロルド・ヴァンウィックや、「迷子の兵隊」のブレイリー大佐に匹敵する尊大さと幼稚さと卑怯さを併せ持つ男。

 決して知恵が回るわけではないのですが、立場を利用して、自分に火の粉がかからないように小賢しく振る舞う人物です。

 さて、ハッサン・サラーを演じてもらうなら誰か。会議を始めましょうか。

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