第11ページ 手品か魔法か

「よし。銃を捨てな。一応その怪しいスマホも没収な」



 女の手からそれぞれ銃とスマホを奪い、銃は弾倉(マガジン)を抜いて、部屋の隅に放り投げた。



 すると驚く事に、銃は女から離れると、光の塵となって消滅した。



 やはりこれは魔法か手品か?



 女の表情を確認する。

 酷く悔しそうな表情でこちらを睨んでいた。



ーー高校生相手に負けたらこんな表情にもなるか……



 次に俺は、女のスマートフォンの画面を覗き込む。



「なんだこのスマホ……!?」



 見覚えの無いアプリケーションが並んでいた。

 左上のアイコンは、銃をイメージとしたマーク。



「これは一体……!」



 興味本位でそれを押した。

ーーその瞬間。



 俺の右手に、先程の小型のコンパクトピストルが出現した。



「おお〜!すげっ!出た!どんな仕組みだこれ!?」



 首を傾げながら、とりあえずこの物騒な銃を消したいが、その方法がよく分からない。

……下手なアイコン押すのも怖い。



 丁度開いていた部屋の窓から、外めがけて投げ捨てた。



 俺の下で、下敷きになっていた女がニヤリと笑う。



「ふふ。やはり音羽雄我(おとわゆうが)の息子……!この常人離れな身体能力がその証拠……!」



 四つん這いの体制で何言ってんだこの女は。


 まぁこれで攻守交替。

 聞きたいことは山ほどある。先ずは何から聞こうかと、女の背中にまたがりながら悩んでいるとーー


 最悪のタイミングで、俺の部屋のドアがバタンと開く。



「お兄ちゃんお兄ちゃん!今の騒ぎはな……に……え」



 現れたのは小学3年生になる俺の妹だった。


 俺のこの光景を見て、表情を固まらせている。



ーーヤバイヤバイヤバイヤバイ。

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