第7ページ 噂のダークヒーロー
学園内は騒々しく賑わっていた。
それもその筈、この学校の生徒指導の教師が一人、警察に逮捕され、今朝のニュースで持ち切りだったからだ。
しかし被害者だった坂上は、昨晩の事は綺麗に忘れ、普段通りに登校している。
俺達『オーディナル』の痕跡は、アプリケーションで跡形もなく消し去った。
他人の記憶操作すら、それらは容易に行うことができる。
学年が上の俺は、下の階にいる坂上の事を思い浮かべながらーー
窓際の席から、クラスの慌ただしい光景を満足気に見渡していた。
「……人々は俺たちの話で持ち切りか」
クラスメイトは好き勝手に、あれやこれやの噂話を広めていた。
その噂話の中心となっているのは、俺達『オーディナル』について。
「例のダークヒーローが出たらしいぞ!」
「知ってるか!?SNSで、『ハッシュタグーーオーディナル』と検索してみろよ!?ダークヒーローについて、色々と書き込みが上がってるらしいぞ!?」
「知ってる!最近有名だよね!ちょっと怖いけど……なんかかっこいい!何者なんだろうね!?」
ーーなどなど。
心の中でニシシと笑い、優越感を存分に満喫しながらーー
スマートフォンを制服のポケットに入れ、立ち上がり歩き出す。
それを見たクラスメイトの一人が、「
言うまでもなく、『
「んー、ちょっとお手洗いに。すぐ戻るよ」
そう言い残し、教室を出て廊下を歩く。
人目を気にしながら、辺りに誰もいないことを確認し、一気にダッシュ。
駆け降りるように階段を下り、あっという間に1階部に辿り着く。
この学校には、誰も知らない秘密の地下室がある。
階段裏の、掃除用具棚の真下に隠されたーー『オーディナル』だけが知る秘密基地。
「周りに人はいない……と」
棚の扉を開けて、モップやバケツをどかし、中の壁に自身のスマートフォンを翳す。
ピッ!!
認証完了ーー『オーディナルナンバー”ビースト”音羽柚木』
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