メシマズ☆キッチン

功野 涼し

プロローグ

 メシマズそれは『めしが』『まずい』の略である。要はご飯を不味く作って出してくることな訳だ。

 ただ飯が不味くなる過程は多々ある。そこで簡単にまとめてみた。


その1……『めんどくさがりメシマズ』


 そのままだ。作るのめんどくせーって感情で作った結果だ。

 このタイプは私生活も割りとだらしなかったなぁ。


その2……『味音痴メシマズ』


 これは本人の味覚によるものからくるメシマズ。マヨネーズ使えばすべてOKとか酷いのになれば砂糖と七味をウスターソースにと混ぜてカラフルなチョコスプレーをトッピングしたソースをかけたハンバーグとか……死んじゃうね、いや死んだ。


その3……『健康オタクメシマズ』


 良薬口に苦し! を地でいくメシマズ。これはたちが悪い。なにせ栄養やカロリーに気を使っている訳だから変に自信を持っている。なかなか頑固だ。

 カロリーの無い物を食べるときの心に穴の空いた感じはなんなんだろう? 大体カロリーゼロ唐揚げってなに? どういうこと?

 毎朝野菜スムージー炊き込みご飯とか食べたら顔も緑色になるっての。


その4……『アレンジメシマズ』


 まずレシピを見ない。私の考える最強料理を作り出す。その姿は大きな鍋をかき混ぜる魔女のようだ。

 カレーのルーの箱に書いてあるレシピ通りに作れば良いのに、ルーは2種類以上まぜ合わせて隠し味にチョコとヨーグルト、ワインも入れちゃう! 知ってた? 醤油とケチャップも入れると美味しくなるしリンゴは皮のところの栄養があるらしいから丸ごと入れちゃおう!

 時々間違えて美味しいのが出来るからたちが悪い。


 他にもあるかも知れないが俺が知っているのはこれだけだ。

 なに? 詳しい? 当たり前だ。上から付き合ってきた彼女の順番だからな。


 そして今の彼女は、物凄く一生懸命なのだが空回りする天然のメシマズな訳だ。めんどくさがったりは決してしないが一生懸命間違える。


 ちょっと話は反れるが料理についての俺なりの見解を語らせてもらおう。

 別に女性が料理を作らなければならないとか言うわけでは無い。

 みんな同じ人間なのだから料理が苦手な人だっているだろう。

 メシマズの女性がおかしいと言うのなら男性は作る機会が少ないだけで隠れメシマズが多いはずだと俺は思っている。


 ただ男性において1つ言えるのは良くも悪くもバカ正直に料理をする奴が多いと言うことだ。


 カレーにローリエが、ハンバーグにナツメグが必要だとレシピに書いてあったら、今度いつ使うかも分からないものを何が何でも揃えてしまう。

 どこどこ産の新鮮取れたて野菜が必要、ハーブで育った牛の高級ヒレ肉を使用するならそれらを探し求めてスーパーをはしごする。

 そして出来上がるお値段の高い高級料理と使う予定の無い無駄に残った食材たち。これが俺の思う『男料理』だと思う。

 それを自慢げに出すのだから男性も中々にたちが悪い。

 ただこの性質上男性は単純なのでルール通りに作り、高級食材に助けられ、更にカロリーや健康を気にせず作るのでそれなりに美味しくまとまることが多いだけだと思っている。


 話を戻そう。俺は今まで4人の女性と付き合ってきた。

 自慢じゃないがみんな可愛い。

 ただメシマズだっただけだ。ずっと一緒にいたいからこそ改善してもらおうとして……俺も強く言い過ぎたのが悪いのだが、それが原因でギスギスして別れてしまうことを繰り返してしまった。

 そして5人目のメシマズ彼女との出会い。


 これは俺、入月いりづき 裕仁ひろひとと彼女の黒羽くろは 夢弓ゆめみのメシマズを乗り越えるまでの記録である。

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