ビリビリ

倉橋刀心

第1話

「ねえ、私さ。たまに、風邪でもないのに身体がビリビリして痛いときあんの。なんか筋肉が反応して、風邪の前兆みたいな筋肉痛みたいな、ウィルスに侵略されてるーみたいな。顔が熱くなって、胸がすごく痛くなってさ。私病気なのかな?」

「大丈夫かよ?どんな時にビリビリすんの?」

「最近はね、先々週あんたが体育の時間にカッコつけて女子のキャーキャー言われてるのを私に見せつけてきた時と、先週あんたと購買でパンの取り合いして負けて悔しかった時と、昨日あんたと一緒に部屋で英語の長文勉強した時。めっちゃ身体ビリビリしてた」

「……」

「何よ?」

「……」

「ちょっと何よ?黙ってないで、なんか言いなさいよ」

「…それってさ。もっと他にもビリビリする時ある?おまえの好きな男同士のエロ漫画読んでる時とかは?」

「…あー!確かになるなる!なるわ!あんた凄いね。すっごい好きな漫画のシリーズ読んでる時にめっちゃビリビリするわ!何で知ってんの?言ったことあったっけ?」

「あとおまえが好きなケーキバイキングでがっつり食った時とかは?この前一緒に行ったろ」

「あーあー!なったなった!マジなったわ!やばい、よくわかるね!あんた天才?」

「安心しろ。絶対それって、病気とかじゃねえから」

「何でわかんのよ。まあ、言われなくても安心するけど。漫画とかケーキなら別に死ぬわけでもなさそうだし、心配しなくてもいいかなあ。うん」

「で、最終的に何でおまえは昨日俺の部屋で勉強した時、身体がビリビリするのかわかったわけ?あん時ちょっと俺たちいい感じ…だったよな」

「いい感じ?…まあ、苦手な英語がわかったから確かにめっちゃいい感じではあったけど。原因はともあれ、どういう時になるかわかっただけで十分だわ。きっと頭使ったときにビリビリすんだね」

「…俺、おまえのこと前から結構やばいかなとは思ってたけど、俺が思ってる以上にバカだな。おまえケーキバイキングで頭使うのかよ?」

「は?もちろんだよ。何から攻めるかとか超頭使ったからビリビリするんじゃん!バカなの?あんたの方こそバカなの?」

「知らねーよ。でも、うん。よかった。相談してくれてありがとな。正直めっちゃ嬉しかったってのが、まあ、自分でもビックリしてるところだけど」

「…はあ。まあ、相談するだけタダだし?ね、あんたもビリビリしたら私にすぐ相談しなよ」

「悔しいけど、俺ももう既にビリビリだよ。くっそ…」

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ビリビリ 倉橋刀心 @Toushin-Kurahashi

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