第1話 俺の初恋相手は優しすぎて後輩はうざすぎる
俺の名前は瀬戸口 想。
勉強は割とできる、運動もまあまあ。普通の高校二年生だ。
こういう挨拶をしているとラブコメ主人公に思われそうだからあらかじめ言っておくが俺には一つ大きな欠点がある。
俺は顔が地味なんだ。努力でどうにかなる問題じゃない。
例えるなら漫画とかに出てくるモブキャラっているだろ。
あの顔ぐらい地味。友達はたくさんいるが、彼女は全くできない。女子から見たら俺は顔だけでもう陰キャなのだろう。はぁ、この顔なんとかなんねーかな・・・とか勝手に自己紹介して、朝の通学途中勝手に落ち込んでいたら
「おはよっ」
肩をたたかれた。振り返る前に声だけで誰かわかっていた。
だってこの人に俺は初恋をしてしまったのだから。きっかけはなんてことない。
中学時代はよく遊んでもらった。
まあその時は何とも思ってなかったんだが高校に入ってめっちゃ美人なこの人を見て恋に落ちたってわけだ。
別に珍しい話じゃねえだろ?
俺の初恋相手の名前は雨森 好水。水属性っぽい女子が可愛いと感じるのは偏見か?まあいいや。
それでこの人はまあ好きな先輩っていう時点で察しはついているだろうが完璧超人だ。
容姿は黒髪ロングのお姉さんキャラのテンプレって感じだな。マジでかわいい。そして胸がでかい。発情・・・いや思春期男子の俺はついつい胸ばかり見てしまう。
「ねえ、どこ見てるの?」
やべ、ばれたか。胸です!と自信満々にこたえられるほど俺は肝が据わってないので
「しょ、空を見てました」
思いっきり噛んだあああ!
「もう何言ってんの。早くいくよ~」
先輩に背中をたたかれた。噛んでもすぐ笑顔で対応してくれる、これこそ神対応だな。
付き合いてえな~と思いながら俺は校舎を目指した。
学校に着き、先輩を3年の階に向かう階段のところで見送る。
「瀬戸口センパ~イ 朝から何ネットオタクみたいな暗い顔してるんですか?」
この人に容赦なく暴言をいうくそ野郎は俺の学年が一個下の陽 蒼日。説明は以上。俺は知らないふりをして自分の教室へ向かう。
蒼日が肩をつかんできた
「ちょっと待ってくださいよ。私の説明短すぎません?」
何でこいつモノローグに口出してきてんだよ。そもそも、オタクへの偏見が酷い。
「さっきから見てましたけどというかあからさまに好水さんに態度良くしすぎじゃないですか、まるで発情期のサルですよ」
「あの人に良くしてるんじゃなくてお前に悪くしてるだけだ。 というかさっきから人の顔をディするな」
つーか何で見てんだよ。
「なおさらひどい!私先輩と仲良くしたいんですよ」
「俺は仲良くする気はない、というか発情期のサルとか言ってたヤツが言うセリフじゃねえだろ。じゃあ教室戻るぞ」
振り返って何歩か歩いたところで背後から泣き声が聞こえた。振り返ると蒼日がうずくまって泣いていた。え・・・一瞬思考停止したがすぐに蒼日のもとへ駆け寄る。
「悪かった。冗談だから」
目立ちたくないからとりあえず謝る。
「じゃあ先輩私と仲良くしてくれますか?」
「もちろんだ」
といった瞬間俺は蒼日の制服のポケットに入っている目薬を見つけた。
まさかこいつ・・・
「おい、蒼日目薬落ちてる」
え?といい蒼日が顔を上げる。涙の跡はすっかりなくなっていた。
「てめえええ、思いっきりウソ泣きじゃねえか」
「凡ミスですね!」チロッと舌を出す蒼日。全然可愛くねえ。
「じゃあ俺は教室に戻るぞ」
「分かりました。でも仲良くしてくれるって言いましたからね。これからもよろしくお願いしまーす」
「わかったわかった、じゃあな」
めんどくさいからとりあえず背を向け歩き出す。
「あと、ちゃんとモノローグで私のこと説明してくださいね」
だからモノローグに口出しすんなよ。
だがまあしょうがねえ説明するか。陽 蒼日は結構学校でも有名な美少女だ。
銀髪ショートカットでいわゆるお淑やかな女子ってイメージだ。
みんなの前だと清純派で優しいらしい。
そして頭がめちゃくちゃいい。
まあモテる優等生だな。
だが突然俺の前だと頭がおかしい魂が宿ったかのように暴言を吐きまくる。
アイツとも中学生の時に初めて会ったんだが第一声が「顔が地味すぎて一生付き合えません」だぞ。失礼極まりないだろ。
しかも巷で流行ってる「ウザかわ」とかじゃなくて普通にうざい。
だから俺はあいつと関わりたくないが、ただの陰キャと思われている俺と話してくれることに多少は感謝する。
いや、やっぱりしない。
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