第三章:殺意の侵食

「優衣、不安ならしばらくわたしの部屋に泊まる?」


 思い詰めたように足元を見つめる羽舞の顔を、影宮が覗き込む。


「ううん、大丈夫。そんな迷惑かけられないし」


「……無理はしないでね。辛くなるようならいつでも頼って良いんだから」


 いたわるような目で見つめる友人からの言葉に、羽舞は微笑しながら頷いた。


「でもさ、この子は家まで送り届けるくらいしないとなんか不安じゃない? ほっといたら夜まで座り込んでそうだし」


 天寺の声で、また全員が日向を見つめる。


「夜までなんかいませんよぉ。なんか怖いじゃないですか」


「ほら、そんなことくらいでビビッてるからこっちが不安になるのよ」


 口を尖らせ反論する日向だが、天寺に額を突かれあっさりと黙り込む。


「あんた、犯人に利用されたのかもしれないんだし、また何かされないとも限らないでしょう? 」

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