第一章:殺意の萌芽

「ええ、ちょうど今終わったとこよ。みんなはこれからでしょう?」


「はい、もうすぐ行かないといけないですねぇ」


 ちらりと時計を確認する日向。


 絵夢もつられるように時計を見る。


 十時三十七分。


 あと十分少々で最終リハーサルとやらが始まるはずだ。


「そちらのお二人はどなた? 初めて見るけど、新しいスタッフの方かしら」


 日向の頭越しに絵夢と嶺垣の元へ首を回し、光野と呼ばれた女性が訊ねてくる。


「あ、こちらは探偵をしてる雨池 絵夢さんと、その助手の嶺垣 紗耶香さんです。あたしが声かけて舞台裏見学に誘ったんですよ」


「あら、そうだったの。探偵をなさってる方なのね……。なんだか、私の手品見破られそうで緊張するわ」

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