第一章:殺意の萌芽

「東大って……、七見さんめちゃくちゃエリートじゃないですか。絵夢さんなんかよりよっぽど頭良いかも」


「別に、大したことじゃないですよ」


「大したことありますよ。だって東大ですよ? 絵夢さんなんかじゃ足元にも及ばないくらいのレベルですもん」


「……嶺垣くん、七見さんも大したことないって言ってるんだから、大したことじゃないんだよ。ちゃんと素直に理解しないと」


 このまま会話を聞いていても自分が惨めに感じてしまうと即座に判断し、絵夢は優しい口調で嶺垣を諭した。


「……」


 それに対して、その場にいた全員が何か言いたそうな表情を浮かべて絵夢を見つめてくるが、自分の気持ちを察してくれたものだろうと自己解釈しておくことにする。

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