第一章:殺意の萌芽

「すみませーん、お待たせしましたー」


 部屋の入り口から日向の声が聞こえ、絵夢はそちらへ振り返った。


 笑顔で手を振りながら、日向が近づいてくる。


 そして、その後ろには天寺と影宮に混じり、他に三人の男女の姿が見えた。


 チョコレートの包み紙を近くのごみ箱へ放り込み、絵夢は日向たちの方へ身体を向ける。


「その二人が日向ちゃんの知り合い?」


 絵夢たちの目の前まで来ると、日向の後ろを歩いていた眼鏡をかけた男性がまず最初に口を開いた。


 見た目には、三十代くらいだろうと思う。


 短く切り揃えた髪に、紺色のスーツ姿。一見して真面目そうな印象を受けた。

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