第10章 一騎当千のドラゴン

第58話 魔道具開発

 俺達は前線に一っ飛び。

 前線では塹壕が幾重にも掘られていた。

 ちょうど、敵の馬の一隊がこちらに寄せて来たところだった。


「一撃のザンダリル様がやってきたぞ。道を開けろ」


 こちらの味方の兵士が叫んだ。


「ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・

ハニスイろコチリリろカイトカゆよレ・む」


 騎兵が駆け寄りながら詠唱開始して塹壕に近寄った所で魔法を放つ。

 魔法を放った敵兵は大急ぎで離脱にかかる。

 魔法は塹壕に着弾して兵士を焼き上げる。

 悲鳴が塹壕のあちらこちらから上がった。


「いくぜ。ヒラニシ・モチニミゆ……」

「リタリーも居るわよ。ヒラニシ・モチニミゆ……」


 ザンダリルとリタリーの詠唱が間に合ったようだ。

 ザンダリルはファイヤーボールを次々に放つ。

 五十連発とは頑張るな。

 リタリーはいつもの十連発だ。

 ファイヤーボールを食らった騎兵が転げ落ちる。


「ファイヤーボールを撃たれたぞ反撃急げ」


 矢を生きているこちらの兵士が撃つ。


 矢はほとんど外れたようだ。

 幾本かは馬何頭かに当たり敵兵士が落馬した。




「ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・

ハニスイろコチリリろカイトカゆよレ・む」


 こちらも急いで魔法を唱えて反撃するのだが、その時には馬に乗った相手はすでに圏外だ。

 落馬した兵士には無情にもファイヤーボールの雨が降り注ぐ。


 何か少し予想してたのと違うな。

 もっと中世みたいに名乗りを上げて一騎打ちみたいなのを想像していた。

 詠唱が短い魔法があればこっちが有利か。

 魔道具なら一発だけだが、無詠唱で放てる。


 俺達は指揮官に掛け合い、ファイヤーボールの魔道具を量産し始めた。

 料金はせちがらい事にこっち持ちだ。

 このイメージで魔道具を作った。


void main(void) /*基本の魔力コスト10*/

{

 int i; /*カウンター*/

 char o[100]; /*軌道データ。魔力コスト1*/

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=fire_ball_make(19); /*火の玉生成。魔力コスト19*/

 for(i=0;i<200){ /*射程200メートル*/

  magic_straight(mp,o,10); /*軌道を真っ直ぐに*/

  magic_move(mp,o,10); /*飛ばす*/

 }

}


 これは、魔力コスト30のリタリーに教えた魔法を元にしている。

 今日は魔道具の実戦だ

 口ひげが偉そうな指揮官とミニアが話し始める。


「使えるのかね。Cランク魔石で作った魔道具やらは」

「ドラゴン的。自信」

「まあ良い。懐は痛まんからな」

「ドラゴン的。財布」

「なんか分からんが金持ちか。なら遠慮はいらんな。さあ、始めろ」


 駆け寄って来る馬に対して放たれるファイヤーボール。

 二倍の大きさの魔法にびびって逃げ出す敵兵もちらほらいる。

 果敢に突っ込んでくる騎兵にファイヤーボールが炸裂した。


「おおー、凄いではないか。いつも魔法は追撃と決まっておったが。迎え撃てるとはな」

「報告します。二十魔法が放たれ着弾十三です」

「なかなかだな。予算があればこの戦争もけりがつくというのに」

「ドラゴン的。支援」

「お前が支援してくれるのなら心強い」




 この魔道具の活躍で前線は押し上げられた。

 俺のブレスはどうしたかだって。

 俺が蹂躙するのは強敵が出て来てからだと指揮官に言われた。

 早くから俺を出すと対策を取られる可能性が高いらしい。

 大一番が俺の出番のようだ。

 早々に切り札を切るのは負け戦だと指揮官が笑って言った。


 魔道具があまりにも好調でバリエーションを頼まれた。

 まずは誘導弾だな。

 まずこれを見てほしい。


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/

 mp=fire_ball_make(100); /*火の玉生成*/

 time_wait(60*100); /*一分待つ*/

 magic_bomb(mp); /*爆発*/

}


 土木の現場で使われている一般的な爆発の魔法だ。

 下の誘導弾にさっきの魔法から爆発の要素を抜き出した追加した。


void main(int argc,char *argv[]) /*基本の魔力コスト10*/

{

 char o[10]; /*軌道データ。魔力コスト1*/

 int i; /*カウンター*/

 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/

 mp=fire_ball_make(19); /*火の玉生成。魔力コスト19*/

 for(i=0;i<2000;i++){ /*二千回繰り返し。射程200メートル*/

  magic_direct(mp,o,sizeof(o),argv[1]); /*目標に向かう軌道データ生成*/

  magic_move(mp,o,sizeof(o)); /*軌道データ通りに動かす*/

 }

 magic_bomb(mp); /*爆発*/

}


 今日は新魔道具のお披露目の日だ。


「今回も期待しているぞ」


 ひげを指で摘まみ整えながら言った。


「ドラゴン的。自信作」


 ミニアが自慢げに言った。


「敵騎兵、来ます」

「よし試せ」


 兵士の報告を聞いて指揮官が指図した。

 敵騎兵も魔道具に慣れたのか見事な手綱さばきでかわす者も多くなった。

 敵騎兵に向かって一斉に誘導弾が放たれる。

 いつものファイヤーボールだと思ってかわす敵兵。


 半数が誘導弾の直撃で葬り去られた。

 後の半数は誘導弾だと分かると全速力で逃げ出した。

 追いすがる誘導弾。

 逃げ切れると敵兵が油断したところに後方での爆発。

 馬が棹立ちになり敵兵は落馬した。

 追い討ちで矢が放たれて敵兵は全て討たれた。


「なかなかに使えるではないか。さすが冒険者期待の星。これからも頼むぞ」

「任された」




 これでけりがつくのなら万々歳なのだが。

 そう上手く事が運ぶかな。

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