第55話 遺跡探索

 まず見えたのが薄暗い洞窟に行き止まりの岩の壁だった。

 ミニアが灯りの魔道具を点ける。

 変だな臭いの元になる物がない。

 ピッパの感覚が風を捉える。

 壁に見えるがどこかに穴が開いているのか。

 ピッパの赤外線の目で洞窟がまだ続いているのを発見した。

 そこには壁があるはずなんだが。

 ピッパに壁を触れと指示を出す。

 ピッパが壁の所まで飛ぶと壁の裏側に突き抜けた。

 ミニアが慌てて後から追いかけて来る。


 そこには香炉が置かれていて、煙と共に柑橘系の薬品臭いにおいを吐き出していた。

 猫型魔獣避けの何かだろう。


 先客がいるな。

 俺はミニアに注意するように魔法で伝えた。


 自然の洞窟は10メートルほどで終わっていて、そこからはコンクリートみたいな物で出来ている通路になっていた。

 ピッパの目が動く物を捉えた。

 1メートルの蜘蛛魔獣だ。


「ぐぎゃ(任せて)」

「うん」


 言葉が分からないのにピッパとミニアは意思疎通している。

 ピッパが前に出て風のブレスを吐き蜘蛛魔獣を刻んだ。


 蜘蛛魔獣に犠牲になった糸に巻かれた人の亡骸らしき物が見える。

 ピッパが俺に指示されて糸を爪で引き裂く。

 現れたのは手入れのされてない髪の毛。

 髭がぼうぼうの顔。

 風体は食い詰めた盗賊のようだ。

 盗賊が遺跡に押し入ったにして奇妙だな。

 こんな危険な所をねぐらにはしないだろう。

 宝目当てだとしてもこんなに犠牲を出したら割りに合わないだろうし。

 奥へ進めば分かるに違いない。




 そしてさらに進むと10センチぐらいのスライムが数匹蠢いていた。

 スライムはそんなに脅威ではない。

 屍骸を溶かすぐらいしか能がない生物だからだ。

 酸で金属を少し劣化させるぐらいが関の山。

 無視して進むように指示を出した。




「あれ」

「がぉ(何?)」


 ミニアが動く物を見つけた。

 ピッパもそれを注視してそれが何か分かった。

 2メートルほどのオオトカゲだ。

 壁に幾つか穴が開いていて、そこから幾つも顔を覗かせていた。

 この穴はオオトカゲが開けたものだろう。

 トラップとかではないようだ。

 血の跡がある事から先客はここでも戦闘したのだろう。

 亡骸は食われたか持ち去ったのだな。


「がおおぅ(がんばっちゃうよ)」


 ピッパのブレスはモグラ叩きよろしくトカゲの頭を叩く。

 グゲッとか情けない声でトカゲが呻くがそんな命乞いなど無意味だ。

 ピッパは次々に血祭りに上げた。


「お疲れ」

「がおがおがぁ(もっと戦いたい)」


 さてとお次は何かな。

 しばらく進むと亀裂の外にいた大型の猫魔獣が数頭いる。

 ここにも戦闘の証拠である血の跡が。

 そして、猫魔獣の亡骸と人間数人の亡骸がある。


 ピッパが風の刃を吐く。

 猫魔獣はなすすべなく切り刻まれるかに思われたが壁を使って三角飛びして風の刃をかわした。


 ミニアの電撃誘導魔法が炸裂。

 猫型魔獣は電撃に痺れ、ピッパに切り裂かれた。


 ちなみに魔法のイメージはこうだ。


void magic_move_multi(MAGIC **mp,char **orbit,int orbit_size,int multi_size)

{

 int i,j; /*カウンター*/

 for(i=0;i<orbit_size;i++){ /*軌道データの数だけループ*/

  for(j=0;j<multi_size;j++){ /*対象の数だけループ*/

   vector_add(mp[j],*(&orbit[j][i])); /*一個分の速度を設定*/

  }

  time_wait(1);

 }

}


void main(int argc,char *argv[])

{

 MAGIC *mp[5]; /*魔法五個の定義*/

 orbit[5][10]; /*軌道データ*/

 int i,j; /*カウンター*/

 if(argc!=6){ /*対象が五個ないときはエラー 魔法自身も対象に含まれるため6になる*/

  exit(EXIT_FAILURE); /*強制終了*/

 }

 for(i=0;i<5;i++){

  m[i]=electric_ball_make(50); /*魔力五十で電撃の玉を生成*/

 }

 for(i=0;i<1000;i++){

  for(j=0;j<5;j++){

   magic_direct(mp[j],orbit[j],10,argv[j+1]); /*目標に向かい軌道データ生成*/

  }

  magic_move_multi(mp,orbit,10,5); /*五個の電撃を10センチ動かす*/

 }

}


 五つの目標が同時に攻撃できる電撃だ。

 これはミニアの切り札の一つでほぼ魔力を全て使う。

 だが、そこにぬかりはない。


 魔力増強魔法があるのだ。

 魔法のイメージはこうだ。


void mana_up2(TEL *tpi,TEL *tpo)

{

 int i; /*カウンター*/

 char s[256]; /*読み出し領域*/

 char manapower[2000]; /*増強する魔力の領域*/

 while(tgets(s,256,tpi)!= NULL){ /*読み込みとループ*/

  tputs(s,tpo); /*書き出し*/

 }

 for(i=0;i<sizeof(manapower);i++){ /*増強する分だけループ*/

  manapower[i]=MANA; /*領域を魔力に変える*/

 }

 twrite(manapower,1,sizeof(manapower),tpo); /*魔力を付け足す*/

}

void main(void)

{

 TEL *tpi,*tpo; /*魂の定義*/

 tpi=topen("モニミニチ.soul"); /*ミニアの魂を開く*/

 tpo=topen("temp"); /*仮魂を開く*/

 mana_up2(tpi,tpo); /*魔力増強*/

 tclose(tpi); /*閉じる*/

 tclose(tpo); /*閉じる*/

 system("copy /-Y temp モニミニチ.soul"); /*ミニアの魂書き換え*/

 time_wait(3600*100); /*一時間待つ*/

}


 サブルーチンも判明しているので魔法を改造して魔道具を作った。

 これはCランク魔石で発動できるようになっている。

 これの良いのは重複起動しても筋肉痛も頭痛も起こさない点だ。

 魔石の数だけ魔力を増やせる。

 但し魔道具との距離が離れると魔道具の魔法は停止してしまう。

 実質は身につけられる分だけだな。

 呪文を弄くれるのは俺ぐらいだろうから、実質チートと言えるだろう。

 ちなみにさっきの魔道具一個で20しか魔力が増えない。

 俺が使っても雀の涙なのでミニア限定のチートだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る