第3章 辺境都市のドラゴン
第13話 魔法教室
さあ、街道脇で魔法教室の始まりだ。
「まずは『イシニカ』だ念じてみろ」
「そう。お土産あった」
ミニアが紙を差し出す。
そこには呪文が書いてあった。
後で解析しよう。
「でかしたぞ。ミニア、愛している」
俺が褒めるとミニアは顔を染めた。
なんだ顔を赤くするほど嬉しいのか。
「さぁ、『イシニカ』をやってみろ」
「んっ、何か出た」
ミニアの前には半透明の板があった。
おー、異世界人にもコマンドが使えるのだな。
「そしたら、今から言う言葉をそこに表示するんだ。『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・リニキクカろカイトカゆよレ・む』だ」
「やったよ」
打ち間違いがないか確認する。
「最後の『だ』は要らない。それと『が』が『ざ』になっている」
「ほんとだ」
修正は済んだみたいだ。
「それを『リニキクカ』という名前で記憶すると念じるんだ」
「うん、出来た」
「じゃあ次は『ソラモセニリイ』と念じて『リニキクカ』と念じる」
「あ、何か出た」
「エラーメッセージだな。どれどれ『ヒラニシ』が『ヒラミシ』になっているな。呪文を呼び出せ。そして、修正だ」
「うん」
「そしてもう一度『ソラモセニリイ』だ」
「出来た」
「よし『リニキクカ』と念じるんだ」
「うわ。明るい。わだじ。まぼうづかい」
ミニアは感動のあまり泣き出した。
よしよし、撫でてやろう。
壊れ物を扱うようにそっと指をミニアの頭に乗せる。
「もっと。教えて」
ミニアは泣き止み、そう言った。
それからミニアはファイヤーボールをコンパイルした。
「良い子は人に向かって撃ってはいけません」
「ん」
街道と離れるような向きにファイヤーボールをミニアは撃つ。
20メートルほど進み掻き消えた。
よろこんで二発め三発目とファイヤーボールを連発するミニア。
ミニアが四発目を撃とうとした時にバタンと倒れた。
なんだ何が起きたんだ。
俺はおろおろして尻尾を噛み始める。
痛みに我に返った時にはミニアは起きていた。
「何が起きたんだ」
「魔力切れ」
これが魔力切れか。
そうすると魔法コス35が三発とライト一つって事はミニアの魔力量は115から150の間だと思われる。
俺は魔力切れになった事はないが、幾つなんだろう。
まあ、良いや多い分には問題ない。
「今日は呪文を増やすだけにしておこう。良いな」
「残念」
色々な呪文を表示するとミニアはそれを紙に書き取りエディタで入力し始めた。
俺は暇なのでさっき貰った呪文を解析する。
実行した結果と照らし合わせて考えたイメージは。
void main(void)
{
char orbit[2000]; /*軌道データ*/
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=fire_ball_make(15); /*魔力15で火の玉を作る*/
magic_straight(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*真っ直ぐの軌道データを入れる*/
magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*火の玉を動かす*/
}
こんな感じかな。
誘導弾の解析したときに領域一つにつき一センチだと分かっているけど加速するからな。
これは射程20メートルから80メートルだと思う。
紙に書いてあった魔法コストは45だ。
逆算すると基本が10で火の玉生成が15だと残りは20だ。
領域の確保に20だとするとこれを改造してこんなイメージはどうだろう。
void main(void)
{
int i; /*カウンター*/
char orbit[2000]; /*軌道データ*/
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
for(i=0;i<3;i++){ /*三回繰り返し*/
mp=fire_ball_make(25); /*魔力25で火の玉を作る*/
magic_straight(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*真っ直ぐの軌道データを入れる*/
magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*火の玉を動かす*/
} /*繰り返しの終わり*/
}
実験結果で普通のファイヤーボールは魔力5の強さだと分かっている。
オリジナルは三倍だがこの呪文は五倍の強さで射程20メートルのファイヤーボールを三発撃つ。
ミニアに撃てるように考えた。
これの工夫した所は軌道領域を使いまわした所だ。
三発撃つのに領域の確保は一回だけ。
よくあるテクニックだ。
魔力コストは105だ。
ミニアを呼び、今まで打ち込んだ魔法をチェックする。
ミニアの打ち間違いを指摘して修正させた。
必殺技の三連続弾を追加。
生水、種火、伝言、嘘発見、必殺技の三連続弾をミニアは物にした。
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