第二話
昼休み、俺は教室から佑真を連れ出し食堂へと来ていた。
食堂は多くの生徒で賑わっており、多少大きな声で会話をしても他人に聞かれる心配がないためだ。
「で、どうしたんだい?」
佑真を真剣な表情で呟く。
俺は、気持ちを落ち着かせ事実のみを告げる。
「二通の手紙を受け取ったんだ。一通は下駄箱に、一通は机の中に・・・・・・」
「て、手紙にはなんて書かれてたんだい?」
佑真は少し興奮した様子で身を乗り出してくる。
「放課後、屋上に来いって・・・・・・」
俺の言葉を聞いた瞬間、佑真は表情を満面の笑みに変え俺の肩をバシバシと叩く。
「それって絶対告白じゃん。良かったじゃないか」
佑真は、自分の事のように喜んでくれた。
いや、こいつ自分が告白された時より嬉しそうだな・・・・・・
「だけど、これってどうせイタズラとかだろ?同じ日に二通も手紙を貰いしかも呼び出し場所が同じだなんてミラクルあるか?それに俺はお前みたいなイケメンじゃないんだぜ?モテ期なんてくるわけないだろ・・・・・・」
俺は、未だ興奮が冷めない佑真に自分の考えを口にする。
「そうだね。二通っていうのは気になるけど・・・・・・たぶんイタズラではないと思うよ」
佑真は、確信を得ているような表情で言う。
だが、俺の思考はイタズラだと結論付けてしまっているため考えは変わらない。
「ま、そんなに気負わなくていいと思うよ。もしイタズラか何かなら気にしなければいいだけの話しだし、告白なら後悔のしない選択をすればいいだけなんだから。それに、もしかしたら、手紙の送り主はスカートを履いたゴリラかも知れないよ?」
冗談を交えつつ、俺の緊張を解こうとしてくれる佑真に感謝しながら彼の言葉を受け止める。
流石クラス一のイケメンだ。
何度も告白されているとだてあって言葉の重みが違う。
「そうだな。ま、ゴリラだったら間違いなく振るけどな」
「そうだね。僕も絶対に振るね。」
この話はこれで終わり。
そんな雰囲気を出しながら食べ終わった食器を片付けに行く。
俺も、佑真の後を追い、空いた食器を片付けに行く。
「もし、澪がその呼び出しに答えたくないなら僕は行かなくてもいいと思ってるよ。行くかどうかは君が決めればいいさ・・・・・・」
教室に入る直前、彼は一言だけ俺に言い教室の扉を開ける。
「イタズラかも知れないけどとりあえず行ってくる。もし、万に一つ、相手が来てたら失礼だからな」
俺はポケットに手紙を突っ込み扉をくぐった。
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