美少女二人に同時に告白されたのですが・・・

松輝

プロローグ

 俺、篠原澪しのはられいは、二通の手紙の指示通り学校の屋上へと向かっていた。


 勿論、二通の呼び出しの手紙がラブレターなどと思ってはいない。

 恐らくイタズラか何かだろう。

 だが悲しいことに告白かもしれないとほんの少しの望み希望を捨てれず呼び出しに応じていた。


 階段を上りきり、屋上へと繋がる扉を開ける。


 瞬間、目に入ってきたのは二人の美少女だった。


 一人は、俺の幼なじみの宮内唯みやうちゆい

 オレンジ色に近い明るい茶色の髪。

 少し幼さの残る顔立ちにしっかりと存在を主張する胸部。

 常に明るく、元気な姿が目立つ少女だ。


 もう一人は、学校のアイドル的存在である一城美姫いちじょうみき

 銀色の長い髪に白い肌。

 人形のように整った顔立ち。

 ふっくらとした胸部にスラリと長い足。

 一部の生徒から「白雪姫」と呼ばれている少女だ。


「え~と、なんでここに?」


 俺の口から疑問の言葉が溢れる。

 幼なじみの唯に呼ばれることなんてないだろうし、住む世界の違う一城さんに関しては接点すらない。

 それ故の疑問であった。


「篠原君」


「澪」


 だが、二人は疑問に応えず俺の名前を呼ぶ。

 二人の声は普段に比べ少し震えていた。

 唯は瞳を揺らし、一城さんは体が小刻みに震えていた。 


「私と付き合ってください」


「私と付き合ってくれないかな」


 二人の言葉が重なる。


「「「え?」」」


 俺は、何を言われたか理解できずそんな言葉が溢れてしまう。

 だが、同じ言葉が溢れたのは二人も同じであった。


「何故、唯さんが?」


「一城さんこそなんで・・・・・・」


 俺は、二人の会話をフリーズしてしまった脳を必死に再起動させながら聞いていた。


「買い物に付き合って欲しいとかのやつだよね?」


 脳が再起動した後、初めて口に出来た言葉はラノベの主人公達が告白された際に口にするような言葉だった。我ながらこれは無いと思う。


「違いますよ。好きだから告白したんです」


「違うに決まってるじゃない。好きだからよバカ!!」


 二人はそれぞれに怒りを含んだ口調で応える。しかも、ちゃっかりと好きなんて入れてくるし・・・・・・


「ごめん」


 俺は、素直に謝罪する。 

 怒られるのは当然だ。

 もし、俺が誰かに告白されて同じことを言われたらきっと泣いてしまうだろう。

 だが、言い訳をさせてもらいたい。

 本当に何もないオタクが、彼女いない歴=年齢の男が、こんなラノベ展開に陥ったら素直に状況が呑み込めるだろうか?

 いや、無理だろう。


 だが、現実に向き合わないといけない。

 何故自分に告白したかなどと二人に問うことはしなかった。

 聞いたところで答えは変わらない。


 俺は答えを告げる。




「ごめん、俺は二人と付き合うことはできない」

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