ぬらりひょんの葬式
テトラ
序
ぬらりひょんが死んだ。
母方の本家から葬儀の案内が届いたので、親戚付き合いのことも考えて出席することにした。自らのルーツに多少の興味もあり、また話のネタになるとの思いもあった。妻が妊娠をして、家族というものについて考えるようになったことも一つの理由であった。
母からは、幼少の頃に「ぬらりひょん」について聞いたことがあった。
本家には代々ぬらりひょんと呼ばれる人物が存在し、その人物だけは特別に、死期が迫ると生前葬を行うのだったか?私は、朧げな記憶を掘り起こした。
何故だか母は、自分の親戚に私を会わせようとしなかった。私にとって親戚と言えば、父方の者だけであった。私に案内が来たのは、母がすでに他界しているからであろう。
お伽話として聞いていたので曖昧だが、ぬらりひょんと言っても普通に暮らす、普通の人間で特に変わったところはなく、ただ葬式だけが特殊なのだと聞いたように思う。
これまで、一度も私に声がかかったことはない。母はぬらりひょんの葬式に出席したことはあったのだろうか。今となってはわからない。本家に行けば疑問のいくつかは解決するだろう。
仏壇の母に手を合わせてから、私は家を出た。
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