げんつき許可証(ライセンス)・あいぞう!
@loli-kon999
第1種免許 あこがれの原付免許!
「はぁはぁ……い、一時間半ママチャリで走り続けて、やっと学校に着きました……」
ちょっとヨレている制服の着こなし方をしている女の子は、
短めのスカートに両手を付き、うつむきながら独り言をつぶやいていた。
「というか何でこの高校、駅が近くにないどころか
バス亭すら全く無いんでしょうか……バカなんですか……。
女子高生に厳しいとかアレですか、熟女好きなんでしょうか……」
腰くらいまである真っ黒い髪を、独特な方法で束ねてある
可愛らしい(?)髪型は、走り続けでぐしゃぐしゃになってしまっていた。
本作の主人公である、ぴかぴかの一年生な彼女の住む実家は
高校がある場所の隣町であった。
信じられないことに、高校があるその町には駅が一つもない。
しかも……バスは全く通っていない。
彼女は、毎日数十キロの道のりをコ○リで買った自転車で
通っていたのだった。
「よーう、まなみ! 今日も可愛いね」
などと、ナンパ紛いな声のかけ方をするのは……。
「ぜぇぜぇ……こ、小鳥ちゃん。おはようございます……」
まなみという、可愛らしく小柄な少女のお友達。
汗だくで真っ赤な顔をしている彼女と違い、涼しげな、
それでいて切れ長な目でクールさをアピールしつつ
まなみの肩に手を置く。
「お前あんな遠くから自転車で通ってるんだよなー……」
「うん。小鳥ちゃんも自転車ですよね?」
「あたしはここから5キロくらいのとこだし……」
かなり小柄なまなみと違い、小鳥という少女はそこそこの身長がある。
今は制服だが、それこそ私服であるけば……後ろからみればまるで
カップルのような身長差である。
まなみは疲れが多少回復したのかシャキっと起き上がり、
ニコッと天使・スマイルをしてみせたあと
「授業あるから、そろそろ行かないと!」
「お、おう。一時限目はなんだっけ」
「音楽……だったっけ。小鳥ちゃんの得意分野ですね」
なんて、他愛も無い会話をしながら二人は校内へと入っていった。
-放課後-
普通の日常の、普通の授業を受けたのち、退屈を紛らわせながら
二人は帰路を急いでいた。
「わたし、原付に乗りたいんです!」
両手を胸の前で握りながら、力強くまなみはドヤ顔した。
「げ、原付ーーー!? なんでまたいきなり」
「原付さえあれば、いま一時間半もかかってる通学路だって
ぴゅーんっ!って10分くらいで着きますよね?」
夢見る少女は目をキラキラさせながら小鳥に顔を近づけた。
か、可愛い……とか彼女はこころのなかで思ってしまっていた。
美人ではない、美人ではないのだが、間違いなく人を虜にできる類の
顔立ちである。
「そんなに速くないわ(笑) まあ、原付免許なら一日で取れるし……。
あたしも付き合うから取りにいってみる?」
「一日で取れるんですか!? いくいく!!」
まなみはとても嬉しそうにしている。
そんな彼女の笑顔を見るのが、友人である小鳥は大好きだった。
-試験場-
「やった、受かったぜ!」
小鳥は小さくガッツポーズをした(試験場は鹿沼にある。
ガッ○石松とかけた洒落ではないぞ)。
その隣で大きな瞳に涙をいっぱい溜めているのは……。
「落ち……ました……」
「えっ、マジ? 超簡単だったけど(笑)」
「一週間いっぱい勉強したのにぃ……」
よほどショックだったのか、涙はもう頬から制服の肩まで
ぼろぼろ落ちてしまっている。
泣いた顔もなんと愛らしい……などと小鳥は思ってはいけない。
あんまり大泣きされてもアレなので、とりあえずそっと優しく抱きしめた。
「ま、また次頑張ればいいじゃん。結構意地悪なひっかけ問題
多かったしさ……」
「う゛ん゛……」
涙と鼻水でぐしゅぐしゅになってうまく喋れていないまなみを、
抱きかかえながら試験場を後にした。
そんな女子高生ふたりを、腕を組みながら見つめる
半裸の老人……!?
「フッ……あの二人、みたところ素質があるな」
「ガチレz……じゃなかった、"S"の素質がな……楽しみだぜ」
続く
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