生配信8 配信にお邪魔しまーす

 3時間前、佐々木さんからコラボ配信に参加してくれと頼まれ、彼女と聡太さんのコラボ配信にお邪魔することになる。


 20時からコラボ配信が開始される予定で、今20時になろうとしていた。


「………はい! 20時になりましたので、聡太さんに連絡していこうと思います!」


 今俺はスマホからサキサキさんの配信を見ている。


「もしもし、聡太さん? そっち配信始めましたか?」


「おう、始めてるよ」


 サキサキさんの配信画面から聡太さんの声。通話アプリが繋がったらしい。


「じゃあ、自己紹介をお願いします!」


 サキサキさんの進行でコラボ配信が始まる。


「どうも、Souちゃんチャンネルの聡太です」


 聡太さんの自己紹介が終わり、次はサキサキさん。


「どうも、聡太さんのリスナーさん! 今日一日、私達のコラボ配信を見て楽しんでいってください。サキサキチャンネルのサキサキです! よろ・しく・ね」


『よろ、しく、ね』

『可愛いいいいい』

『よろ、しく、ね』

『楽しみます』


 聡太さんにお決まりの挨拶があるのか分からないがが、お互いお決まりの挨拶をする。


 挨拶が終わったところで、普通はすぐゲーム。になるはずなのだが1人足りない。


 そう、俺だ。


 こっちも準備が終わったところなので、サキサキさんに合図を送る。


『Takiチャンネル : 準備終わりましたー』

『滝じゃん!』

『滝じゃん!』

『滝いるよぉ』


 サキサキさんのコメント欄が俺で一杯に。サキサキさんに気付いてもらうために、リスナーさん達が俺の名前を連呼してくれる。


「ああ! 滝くん、準備終わったみたいです! 今、掛けますね」


 リスナーさん達のコメントのおかげでサキサキさんは俺の存在に気づき、すぐさま通話アプリを掛けてきてくれる。


「ああああ、声入ってますか?」


 俺は自分のマイクに向けて声を出す。


「入ってますよ!」


 俺の確認にサキサキさんが答えてくれた。声が入っているということなので、一応俺も自己紹介していく。


「どうも、配信者の滝です」


 俺はスマホでサキサキさんの配信を見ながら、2人のコラボ配信に混ざっていく。


『滝、配信してる?』

『滝の配信ないよ?』

『配信してないの?』


 サキサキさんのコメント欄に俺への質問が流れている。これは俺が答えるべきだろう。


『Takiチャンネル : 俺は配信してないよ! 俺の画面はありません』


 コメントにはコメントで返す。


『なる』

『理解』

『理解』

『了解』


 サキサキさんのリスナーさん達と会話していると、聡太さんが俺に聞いてくる。


「滝さ、チュートリアルはやった?」


「チュートリアルだけはやっておきました」


 どのゲームにもチュートリアルはあるように『エーペックス』にもチュートリアルはある。『エーペックス』のチュートリアルは動きの確認とアイテムの拾い方、キャラの技について。


「チュートリアルだけね。じゃあ、まずはフレンドコードを送って。そのあと射撃練習でもしますか」


 聡太さんが気を使ってくれ、練習を提案してくれる。


「そうですね。今度は私が教えてあげます!」


 サキサキさんも練習に同意してくれ、俺は2人にフレンドコードを送り、パーティに招待される。


 招待を受け入れてパーティが組めたところで、射撃訓練場へと向かう。


 射撃訓練場には『エーペックス』内の全ての武器やアイテムが置かれおり、近距離、中距離、遠距離用の的が設置されている。


 2人が武器を選ぶ中、俺はどの武器が良いのか分からないため、サキサキさんのリスナーさん達に聞く。


『Takiチャンネル : どの武器が使いやすい?』


 俺がコメントを送ると、『R301とロングボウ』とか『ハボックとプラウラー』とかいろいろ教えてもらう。


 まあ、言われたところで分かんないんですけどね。聡太さんに聞いてみるか。


「聡太さん、R301とロングボウ、ハボックにプラウラー、ああ、あとフラットラインとトリプルテイクがどれか教えてください」


「うん? オーケ「なんで私に聞いてくれないの?」」


 聡太さんが教えてくれようとしていると、横からサキサキさんが会話に入ってくる。


「いや、別に教えてくれるなら誰でも「じゃあ、私に聞いてよ」………じゃあ、教えてください」


「うん、じゃあ、こっち来て!」


 サキサキさんの後についていく。


『教えたかったんだろうな』

『滝に教えたかったのか』

『分からないことがあれば、サキサキさんに聞いてあげて』

『Takiチャンネル : 了解』


 リスナーさん達の言う通りに、分からないことがあればサキサキさんに聞いていこうと思う。


「まずはね、ここにアサルト系があります。フラットラインとR301、ハボック」


 サキサキさんについて行くとアサルトライフル系の銃が置いてあった。


 リスナーさん達に言われた銃をそれぞれ使ってみる。近距離、中距離、遠距離の的に向かって。


「ああ、はいはい。ちなみになんですけど、サキサキさんと聡太さんならこの3つの内、何使いますか?」


「私はね、フラットラインかな。ダメージがいい感じに入るのそれ。だから、フラットラインがオススメ」


「そうだな。3つの中ならフラットラインがオススメかな。でも、うんん、R301もいいんだよな。中距離安定しているし」


 なるほど、なるほど。サキサキさんと聡太さんが勧めた銃を使ってみる。スコープや拡張マガジンなどの装備品なしで。


 うーん、甲乙つけ難い。でも、中距離から安定して狙撃が出来るのは、嬉しいかもな。


「あと1つ質問なんですけど、サキサキさんと聡太さんはどんな銃使ってるんですか?」


 銃が被って取り合いになるのは嫌なので、聞いてみる。


「うーんとね、よく使うのはね、フラットラインとR99かな。たまにハボック使う」


 R99が何か分からないけど、ハボックはアサルトライフルの場所に置いてあった。


 ってか、俺がフラットライン使ったら被るやん!


「俺はピースキーパーって言うショットガンと、ウィングマンって言うピストル。中距離と遠距離当たんないから、1発1発のダメージ量が重いの使ってる」


 ショットガンとピストルか。リスナーさん達が言っていた武器の名前がないから、聡太さんは被りなし。


「じゃあ、フラットラインは無しで、R301使っていこうかな」


「ええ! フラットライン使っていこうよ!」


「別に使ってもいいですけど、1つだけの場合取り合いになりますよ?」


『うん、なるな』

『取り合いになるな』

『滝が譲りそう』


 コメント欄にあるように、取り合いになったら譲りますよ。それはね、サキサキさんは女の子だし。


「ああ、そうか。じゃあ、絶対使わないで。私といる時は絶対使わないで!」


「ふふふ、そんなに念を押すか⁉︎ 滝、絶対使っちゃダメだぞ」


「分かりました。絶対使いません」


 フラットライン、絶対使わない!


 アサルトライフル系は見終えたので、サキサキさんに次の銃の場所に案内してもらう。その前にもう1つ質問する。


「サキサキさん、バーストの武器って無いんですか?」


「バースト?」


 おや、おやおやおや? まさか、バーストを知らない。


「聡太さん、バーストってあります?」


 ここで聡太さんに聞く。


「あるぞ。3点バーストがヘムロック。5点バーストがプラウラー」


 うん、バーストの銃があるなら。それを使うかな。


 サキサキさんにプラウラーの場所に案内してもらう。


「これか。サブマシンガンなのね」


 プラウラーというサブマシンガンを、近距離の的に撃つ。


「バースト? バーストって?」


 俺の撃っている姿を横から見るサキサキさん。


 バーストの意味を教えてあげるか。


「サキサキさん、フルオートって分かりますか?」


「それぐらい分かるよ! 撃つ時、弾倉に入っている弾を全部吐き出す、あれでしょ?」


「そうですね、全部吐き出すやつ。で、バーストっていうのは、フルオートに制限をかけて、出る弾を少なくする奴のことです。3点バーストなら3弾しか連射出来ないし、5点バーストなら5弾しか連射出来ません」


 そう言い、サキサキさんの前で5点バーストのプラウラーを撃って見せる。


「あー、本当だ。5弾しか出てない」


「ね、これがバーストの特徴です」


 説明終了。コメント欄を見ると、


『分かってなかったんだ』

『教える側から教えられる側へ』

『サキサキさんらしい』

『ポンコツ具合が良い!』


 リスナーさん達に言われたい放題。


 怒られても知らんぞ、リスナーさん達よ。


 一応、使いたいやつ見つけた。


 R301とプラウラー。


 アサルトライフルとサブマシンガンだ。


 射撃の練習をしているとサキサキさんのコメント欄に『滝と聡太さんってどっちが上手いの』と流れてくる。


『Takiチャンネル : 俺だね。絶対俺』


『マジか⁉︎』

『根拠は?』

『自称?』

『滝いるじゃん!』


 滝いますよ。根拠か。


『Takiチャンネル : 聡太さんのエイム力より俺のエイム力の方が上だから』


 これ、根拠じゃ無いような気がする。でもまあいっか。


 勝手にサキサキさんのリスナーさん達に話しかけていると、「フッ、フフッ」とサキサキさんが笑っている。


 もしかして、これ見てる?


 まさかと思ったが、そのまさかで。


「聡太さん! 滝さんが聡太さんの悪口を言ってる!」


「なっ!」


「言ってない、言ってない! 悪口は言ってないです、事実しか」


 クスクスと笑い出すサキサキさんに、「事実って何だ?」と追求してくる聡太さん。


「いや、別に対したこと言ってないですよ? サキサキさんのリスナーさんが、『滝と聡太さんってどっちが上手いの?』って聞いてきたから、俺の方が上手いって」


「はあ、ってキレたいところだが事実だな」


「ええ、そうなんですか⁉︎」


『マジか!』

『自称じゃ無いんか!』

『聡太さんの方が上手いと思ってた!』

『事実か』


 信じてなかったのね。いいでしょう、見せてあげましょう。


「聡太さん、勝負しましょうよ!」


 俺は聡太さんに勝負を仕掛ける。


「お互いに同じ武器で、ノーアーマーで、投げ物無しの勝負。これならサキサキさんも信じてくれるでしょう?」


 リスナーさん達も。


「おう、いいぞ。P2020、ピストルでいいよな」


「オーケイです」


 ピストルのP2020に持ち替え、弾を最大限持つ。


「じゃあ、この訓練場全体は戦場ということで」


「了解です」


 ピストルを構え、お互いに離れる。


 戦いの合図はサキサキさんに任せ、グレネードが爆発したら開始。


 ふぅ。


 集中するために、スマホの電源ボタンを押し、雑音を消す。


「じゃあ、投げますよ!」


 ……………ボォオオオン!


 爆発し、戦闘が開始する。


 さて、まずは見つけないとな。


 高いところに登り、索敵をする。


 うんん、何処にいるのかな………みっけ。


 動く聡太さんを見つけ、威嚇で3発無駄撃ちしとく。


 無駄打ちしたおかげで、P2020の飛距離が分かり、どれくらい離れれば当たるのかが分かる。


 よし、じゃあ、迎えに行きますか。


 無言で近づいていき、聡太さんが隠れている場所の約30メートル地点で身を隠す。


 動く気配がない、聡太さん。


 これは俺の動き待ちか? それともタイミング測ってる?


 考えても分かるはずがないので、意を決して突っ込んでいく。


 サクサクと砂の上を走る足音。

 

 俺の足音に合わせて、聡太さんも出てくる。迎え撃つ気満々。だが、もう遅い。俺と聡太さんの距離は20メートルぐらい離れているが、この距離で外す俺ではない。


 前に進みながら撃ち、横に小刻みに動きながら撃ち、リロードし、ジャンプしながら弾を撃ち込んでいく。


 無茶な距離の詰め方のせいで、5発被弾してはいるが聡太さんは、


「マジかよ。今日こそは勝てると思ったのにな」


 俺の8つの弾でダウンしてしまっていた。


「いや、リロードの時は焦りました」


 リロード中に5発被弾してしまい、本当に焦った。


『滝のエイム力』

『上手い』

『すご』


 サキサキさんのリスナーさん達に褒められて、ちょっと調子に乗る。


 銃を乱射していると、1発がサキサキさんに当たる。


「いったぁあああ!」


『あ?』

『何やってんの?』

『は、調子乗んなよ』

『はい、滝は我々を敵に回した』


 やっべ。サキサキさんのリスナーさん達全員敵に回しちゃった。


 コメント欄でボロカスに叩かれる。


『Takiチャンネル : 誠に申し訳ありません』


 サキサキさんより先にリスナーさん達に謝るが、


『許さん』

『激おこ』

『絶対に許さん』

『一生許さん』


 許してはくれなかった。


 サキサキさんのコメント欄を見ていると聡太さんが「そろそろカジュアルやんない?」と言ってくる。


 カジュアルって確か、ランクマッチじゃない対戦だよな。


 ボロカスに言ってくるリスナーさん達のコメントを見ながら、答える。


「いいですよ。カジュアル行きましょう」


『お前が決めんな』

『1人でいけ』

『1人で死んでこい』

『バイバイ、滝』


 うわ、もう見ないようにしよう。


 コメント欄を閉じ、配信だけにする。


「じゃあ、カジュアル行って、滝くんをレベル10にしましょう!」


『エーペックス』にはレベルとランクが存在しており、レベルが10にならないとランクマッチに参加することができない。


「じゃあ、目標は滝のレベルを10に上げることだな」


 そう言って、俺達は射撃訓練場からカジュアルマッチへ。


 初のカジュアルマッチに、俺は少し心が躍るのであった。



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