性癖酒場
@dekai3
性癖に貴賤無し ~ habiting a round ~
ここは国連総本部のあるミラクルキャニオンの麓にある性癖酒場。
どんな人種でも入店可能でどんな会話でもお咎めなしの自由酒場の一つであり、その中でも性癖についての話題ならばどんな過激な内容でも許されるという懐の広い酒場です。
世界中探してもこの場所にしかない性癖酒場は毎日沢山の性癖倒錯者達で溢れていて、今日も様々な性癖についての会話が交わされています。
「で、どうだったよ。ロボ娘スパッツスクワットは」
「最高だった。もう死んでもいいかもしれない」
店内のやや奥まった場所のテーブル席にて、無個性人と狼型獣人がビールと串焼きで優勝しながらなにやら性癖談義をしています。
「くっそぉ~、俺も性癖の合う女の子と付き合いて~」
無個性人の女性はそう言いながら串焼きを根元から一息に口に放り込み ズッ と綺麗に引き抜きます。
「世の中広いんだし、自分みたいにそのうち見つかるって」
狼型獣人の男性は丁寧に箸で串焼きを外し、皿を口の高さまで持ち上げて舌で掬う様に口に運びます。
「そんな事言ってもさ~、お前の場合は国連のディスカッションで知り合ったんだろ? そんなの合コンみたいなもんじゃん、合コン」
「一応ちゃんとした目的のあるディスカッションなんだから合コンとか言うなよ…」
「他種族の交流を目的としてるんだから合コンでいいんだよあんなもん」
どうやら無個性人の女性は狼型獣人に性癖パートナーが出来た事を羨ましがっている様で、お酒は全然減っていないのに既に管を巻き始めている様です。
それも仕方がない事でしょう。この一見大人しそうな狼型獣人は『メカ娘にスパッツを穿いて貰いたい団』という性癖丸出しの団体の団長を務めている性癖倒錯者なのです。こんな野獣とパートナーになるなんて、よっぽどの変態しかありえませんよね。
「ウィィ、モウ始メテイルノカ?」
「あー、その串焼きいっつも頼めない奴じゃないですか。ずるいですよー」
無個性人が更に愚痴を吐こうとした時、二人の居るテーブル席の空いたイスへ虫人と小人が座りました。
この二人は無個性人と狼型獣人の性癖仲間であり、今晩一緒に飲む約束をしていた性癖倒錯者です。
「だってこいつメカ娘の彼女出来たんだぜ~?飲まなきゃやってられないっしょ」
「ソノ気持チハ分カル。ダガオ前ハ既婚者ダロウ」
「そーそー、旦那さんほっといてこんな所で男三人と飲んでていーのー?」
「いや、族長と大企業社長のお前らも相手居るだろ。独り身だったの自分だけだろ」
四人はそれぞれ和気あいあいとしながらお酒を飲んで料理を食べ、友人同士の他愛も無い性癖話に花を咲かせました。
* * *
「じゃ、そろそろ本題に入りますか」
「そうだな。酔いも良い感じだろ」
「イクラコノ場デモ素面デハ言エヌシナ」
「僕は全然OKだけどねー」
宴もたけなわになった頃、四人は網タイツの目の粗さは大きすぎても小さすぎても駄目だという結論を出したのを皮切りに、今夜こうして性癖酒場に集まった本来の目的について話を始めます。
「誰からいく?」
「言い出しっぺの法則ー」
「ソウダナ。マズハ貴様カラ話セ」
「こいつだと最初からエグくないか? 大丈夫か?」
お酒が良い感じに回っているので、四人とも遠慮が無くなってかなりフランクになってきました。
四人はこれでも世間ではかなりアンタッチャブルな存在として扱われている倒錯者ですが、そんな四人でもお酒の力を借りないと話せない事があります。それはいったい何かと言うと…
「だいろっかい〜、チキチキシークレット性癖暴露大会〜!」
「「イェーイ!!」」
ガチン グビグビグビ
そう、シークレット性癖暴露大会です。
無個性人の掛け声と共に何度か目の乾杯をした四人。この四人は普段他人には言えない、世間からしたらちょっとどころかかなりヤバ目の性癖を今夜この場で暴露し合おうとしているのです。
今回でシークレット性癖暴露大会は六回目。今迄にも陰核乳首ピアス三点繋ぎ、リスカ痕コキ、機械拘束バック搾精、マトリョーシ姦、俺女に分からせ、ゲイなのを隠して友人と3Pで間接セックス、巨根の尿道に挿入、複乳ズリ、坊主頭、意識があるまま洋式肉便器へ変換、肉体の内と外反転、自分より高身長の巨人ロリ、豚ドリル、スイカ姦等の様々なヤバ目の性癖についての暴露がありました。
ちなみに会の参加者は毎回同じというわけではありません。今回はこの四人で開催しようと、無個性人によって企画されたのです。
「仕方ね〜な〜、じゃあ俺から暴露するぞ?」
口では嫌々な素振りを出しながらも内心ノリノリなのを隠そうともせずに、無個性人が性癖酒場に置かれている性癖ノートをテーブルの上に広げます。
このノートはいわゆるコミュニケーションノートで性癖に関する事ならば使い方は自由です。しかし、シークレット性癖暴露大会の時は会を開催したという事と、その内容を記録するのがハウスルールなのです。もちろん一回から五回までのシークレット性癖暴露大会の内容も書かれていて、来店者なら自由に閲覧が可能です。
無個性人はそんな性癖ノートにサラサラと綺麗に整った字で第六回シークレット性癖暴露大会を開催する事と自分が暴露する性癖について書き記し、一息ついてからこう言いました。
「俺の暴露する性癖は、『脳姦』だ」
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