デート

 岬樹は今時の男子が着こなす服装に変身していた。


 支給されたスーツはどんな服にも自由自在に変化する為、大変便利であった。 汚れも自動分解してくれると岬樹は、小林からの説明を受けた。さすがに、体に付着した汚れは気持ちが悪いので、当たり前だが風呂とシャワーは毎日入るようにしている。


 狩屋達と別れた後、ブラブラと目的も無く直美と岬樹は二人で街を少し探索した。

 村上達とも何度となく同じ場所に遊びに来たが、直美と二人で歩く街の景色は何もかもが新鮮な感じがした。 いつもは気にかけない、ショーウィンドウも二人で眺めていると、新しい発見が沢山あった。人形が可愛く踊るもの、ウィンドウの前に立ち鏡に顔を写すと二人がウェデングの衣装に見える仕掛け。


 岬樹は、恥ずかしくなり鏡の前から顔を背けた。 ふと、直美のほうを見ると、頬を赤らめてショーウィンドウの中の、ドレスを着た自分の姿に見とれていた。

「あの・・・・・・・、直美さん?」

「あっ、はい・・・・・・、すいません。 狩屋さんなら、きっとお似合いでしょうね・・・・・・と思って・・・・・・」直美は、ボーっとした顔で呟いた。

「俺は似合わなくて・・・・・・・すいませんでしたね」岬樹は少し拗ねた顔をしていった。

「あっ、すいません! そういう訳では・・・・・」直美は少し申し訳なさそうな顔をした。

「・・・・・・」岬樹は無言のままであった。

「・・・・・・次は、あの店に行きましょう!」直美は岬樹の腕に自分の腕を絡めて、話題を変えるように言った。

  直美の指差した先にはゲームセンターがあった。岬樹は腕に当たる直美の胸の感触に顔を真っ赤にしながら頷いた。


 あっという間に時間が経過していく。 こんなにも時間が早く感じたのは久しぶりだった。

「そろそろ帰りましょうか。皆も心配しているかもしれませんし・・・・・・」直美が時計の時間を確認してから聞いてきた。

 時計は夕刻を示している。出来るのであればもう一度、時間を朝まで巻き戻したいと岬樹は考えた。 もちろん女の体に戻るのは勘弁して欲しいのだが・・・・・。


「はい」岬樹は直美の問いかけに渋々返答した。

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