シオリ様はご執心
眠るナオミの前に数人の人影が立っている。
「ナオミ! ナオミ! 大丈夫か!」ミサキは懸命に声をかける。
「う、うーん・・・・・・」ナオミはゆっくりと目を開ける。 目の前には、悔しそうな顔をしたバーニ達が立ち尽くしている。
「私、一体・・・・・・」目を覚ましたナオミは今の状況を理解できずにいた。
「ナオミ、君は俺を
「良かった、みんな無事だったんだね」ナオミは大きくため息をついた。
「しかし、こんな時だというのに、貴方はまた狩屋さんと一緒に・・・・・・」シオリは拳を握りしめながら少し震えている。ナオミは、自分の頭が気を失っている狩屋の肩に体重を預けていることに気づき飛び上がった。
「いやーん! 私ったら、また、恥ずかしい!」ナオミは顔を真っ赤に染めていた。
そのナオミの様子を見て、ミサキは少し頬を膨らませてムッとした顔を見せた。
「なに、やっとんねんな・・・・・・」ムツミも明らかに呆れている様子であった。
「ム、ムツミさんまで・・・・・・」ナオミはムツミの言葉を聞いて更に頬を赤く染めた。
し、しかし、ナオミは時間を止める事が出来るんだ!すごいな」ミサキは話題を変えるように言った。
先程の闘いの中で、ミサキはカテリーナに殴られると思い腹に力を入れて歯を食いしばったが、次に目を開いた時には、あのカトリーナの姿が目の前から突然消えていて驚いた。
「あれは、ナオミちゃんだけのオリジナルの技やねん。ただ、ウチらもそうやけど、大きな能力を使ったあとはその代償のように、暫く動けんようになるねん」ムツミが言うには。先ほどのナオミの異常な睡魔も能力を消費した結果のようだ。
「ナオミ、本当に体とかは大丈夫なのか?」ミサキが、もう一度、心配そうに声をかけた。
「ミサキくん、うん、なんとか・・・・・・」ナオミは無理に微笑んだ後、狩屋に目をやった。彼も連日連夜の仕事で疲れているのか一向の目を覚ます気配はなかった。きっとゆっくいと眠る時間も少ないのであろう。
ナオミが狩屋を見つめる瞳を見て、ミサキの胸は激しいモヤモヤ感に襲われた。
「とにかく、この刑事はんもどこかに移動させとかんとな」そう言うとムツミが狩屋の体をお姫様抱っこのように持ち上げた。
「ちょっと、ムツミさん!」ナオミが驚いたような声をあげる。
「いくで!」そう言うと、ミサキ以外のバーニ達はその場から姿を消した。
一人残ったミサキは、おもむろに右手を上げて力を込めた。 その手から激しい電流が発射されて瓦礫を吹き飛ばした。
「俺の力はこれなのか・・・・・・」ミサキは体に溜めた電流を放電して、攻撃をすることができるようだ。 ミサキは自分の力に驚愕した。
ナオミ達はビルの止められていた無人のパトカーの後部座席に狩屋の体をそっと寝かせた。シオリが狩屋の顔を見て見とれている様子であった。シオリは相も変わらず、妙に優しい瞳で狩屋の顔を見つめていた。心なしかシオリの頬が赤らんでいるような感じがした。
「ちょ、ちょっと、シオリさん?」ナオミは少し
「あっごめんなさい! あまりにも狩屋刑事が素敵なので、つい・・・・・・」シオリが珍しく舌を出しながら首を傾げた。
「どうもシオリは、この刑事さんにご執心やな」ムツミがナオミの耳元で
「そんな、私は別に・・・・・・もう、狩屋さんの事は・・・・・・」ナオミは少し頬を赤らめて否定した。
「うっ・・・・・うっ!」狩屋が目を覚ましそうになった。
「やばい! 起きる! 皆、逃げるで!」そういうと、バーニ達は蜘蛛の子を散らすように姿を消した。
「ここは・・・・・・ 一体?」狩屋は目を覚ました。狩屋は、自分がなぜ、パトカーの後部座席に放置されているのか理解出来ない様子であった。
「俺は、こんな所で何をしているんだ・・・・・・、確かナオミ君がいたような・・・・・・」
ちなみに今もって、ナオミ達が一体何者なのか狩屋には知るよしも無かった。
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