勇者パーティの荷物持ちの俺。最下層に置いてかれたが最強スキル『死に戻り・極』で最強に至る

レイ

覚醒編

第1話 死ねない冒険者


「おい! ジャック! おせーと置いてくぞ!」


「あ、待って下さい!」


俺の名前はジャック。 勇者パーティの荷物持ちだ。 なぜ荷物持ちなのかって? それは簡単な事だ。 俺のスキルがゴミスキルだっただけだ。 俺のスキルは『死に戻り』。 一見強いスキルに見えるかもしれないが、世界が戻る死に戻りではなく生き返る方の死に戻りだ。だが死んでも経験値はもらえないし何も起こらず生き返る。 そしてまた殺される。 その繰り返しだ。 だからゴミスキルと呼ばれるんだ。


「ッチ! 早くしろよこのゴミ屑が! お前が遅れるとこっちにも支障が出るだろうがよ」


俺に殴りながら叫んでいるのはこのパーティのリーダーであり勇者のフレイだ。 俺が冒険者になって俺を拾ってくれた恩人でもある。 最初の頃は優しかったが勇者になってからは彼の性格が豹変したのだ。 何かあっては俺のことを気が治るまで殴りまくるようになってしまったのだ。 


「本当にその通りよ。 あーもういつまでうちのパーティにいる気なの? 早く消えて欲しいんだけれど」


彼女はサナ。 このパーティのビショップだ。 彼女は勇者になったフレイのサポートをするために教会から来たが性格は冷酷だ。 彼女はいつも俺がフレイに殴られてるといつも俺に消えろだ死ねだ言ってくるクソ野郎だ。


「けどそしたら俺……生活出来なんですよ!」


「そんな事知らないわよ。 別にあんたが生活できなくてもわたしは出来るからいいもの」


俺は口を噛み締めた。


「そうそう俺たちには関係ないの。 わかるかな? 必要ないの」

「・・・兄様の言う通りです。 いらないです」


この二人は妹のスレアと兄のセルマだ。 二人は兄妹で兄のセルマはパラディン、妹のスレアは大魔法使いだ。 この二人もいつも俺のことを馬鹿にしてくる。 セルマは俺をいつも練習台に使いスレアに関しては俺の体を研究すると言い放ち、腕を燃やしたり砕いたりする。 なんだって俺は死んでもすぐに生き返るからちょうどいいんだろうな。 


俺にだって痛覚はある。 腕が千切れれば痛いし死ねばもっと痛い。 だが生き返る。 俺はもうこれは一種の呪いなんじゃないかと思っているさ。 いつかはこの呪いも解けて欲しいものだ。


「よし! やっと最下層だ。 ここまで長かったな〜」

「そうね。 何処かの荷物持ちがいたからね」

「ははは、ちがいねぇな」

コクリ


四人はまた俺の事を話しながら最下層の道を歩いていた。 全て本当の事だからなんとも言えないが、俺にも生活がかかっているからこの仕事はやめられないんだ。 妹のためにも俺は耐えなければならないんだ。


ボス部屋の前に着くと四人は止まり、俺の方に振り向いた。


「よし。 ジャック。 先に入れ」


「は!? 何でですか! 俺が入っても力になれないですよ!」


「いいから入れって!」


俺はフレイに首を持たれ無理やりボス部屋に入れさせられた。 た・っ・た・一・人・で・。 


「ジャック、お前は今日この場で除隊だ。 せいぜいボスに殺されまくれ」


「は? 何言ってんだよ? じょ、冗談だろ?」


俺の真剣な顔つきをみた四人は派手に笑い出した。 俺は悟った。 これは悪質な冗談でもなく本気でこいつらは俺をここに置いていく気なのだ。


「ふざけんな! 俺にはまだやる事があるんだよ! なぁ助けてくれよ」


「誰が助けるかバーカ! テメェがここで消息不明になればお前の妹は俺のもんだ。 安心しろ。 たくさん犯したらテメェの所に送ってやるからよ。 ギャハハ!」


「お前! 妹に手を出してみろ! 絶対にこんな所抜け出して殺してやる!」


俺は怒りで頭がいっぱいだった。 あのクズ勇者が俺の妹を犯すと言って俺は黙っていられなかった。 だが俺が今いるのはボス部屋。 俺の後ろにはミノタウロスが立っており、棍棒で俺は押し潰されて死んだ。 俺が最後に見た景色は元パーティメンバーの笑っている顔だった。

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