第23話 空飛ぶわたしたち

 未咲「ねぇねぇ玲香ちゃ~ん、『百合』って知って――」

 玲香「やらないわよ」

 未咲「えー、なんでー? いつもみたいにしようよ~」

 玲香「漫画とかの中だから成立するだけで、意識してするものじゃないから」

 未咲「ひどいなぁ、きょうの玲香ちゃん……あっ、あんなところにUFO――」

 玲香「そんなことで気を逸らしたつもりなら、わたしを無礼なめてるとしか」

 未咲「ほんとだって! あの頃以来だよ! ほら!」

 玲香「あのね、UFOなんてはなっから存在しないのよ、目を覚ましなさい!」

 未咲「いやいやいや、あれ絶対UFOだよ! とってもヘンな動きしてるし!」

 玲香「……」


 違う。あれは確信を持って違うといえる。どう見ても光るドローンだった。


 玲香「どこかの男の子が飛ばしてるんでしょ。気にするまでもないわ」

 未咲「ほぇー、いまどきのドローンってあんなに光るんだー。

    なんか、わたしたちがこれで遊んでたときとは大違いだねー」

 玲香「そんな時期、果たしてあったかしら?」

 未咲「やだなぁ玲香ちゃん。もう忘れちゃったの?

    近所の男の子に教えてもらったの、覚えてない?」

 玲香「さぁ、さっぱり覚えてないわ」

 未咲「そっかー……もうだいぶ昔のことになるもんねー……」


 思い出は、どこに消えたのだろう。

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