　未咲がどこかなつかしむような声で話す。

　未咲「あのね、わたし昔お母さんに『バニラちゃん』って呼ばれてたんだ～。

　　　　なんでかわかる？　玲香ちゃん」

　玲香「さぁ……」

　未咲「体からバニラのにおいがしたんだって。いまは消えちゃったけど……」

　玲香「そのかわりに、尿からいちごのにおいがし出すようになったのね」

　未咲「ちょっと、玲香ちゃん！　そこは『おしっこ』って言うところだよ！」

　玲香「どっちでもいいでしょ、同じじゃない……ばっかじゃないの……」

　言って、玲香ちゃんは顔を赤くしていた。

　玲香ちゃんのこと、これからこっそり「トマトちゃん」って呼ぶことにしよう。

　玲香「それにしても、今日（こんにち）の変換システムってよく出来てるわよね。

　　　　たとえば『ほにゃく』って打つとするでしょ。

　　　　すると変換候補にはちゃんと『翻訳』って出るもの。本当にすごいわ」

　未咲「えっ、当たり前だと思ってたけど……違うの？」

　玲香「ええ、興味があれば調べてみるといいわ」

　未咲「うん、また暇なときに調べてみるねっ」

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