第7話 あのころのかをり
未咲「ねぇねぇ! 誰かわたしのうちに遊びに来てくれない?」
五人「……」
授業おわりに、未咲が意気揚々とそう言った。
うみ「あたし、別に未咲んちは覗きたくないかな……」
春泉「ハルミは行きたいけど、妹の世話があるし……」
ロコ「未咲ちゃんのおうちってちょっと遠いよね……」
未咲「こんなことってあるー?!」
驚きを隠せない未咲。さて、最後の砦、玲香ちゃんはなんと言うでしょうか?
玲香「いいんじゃない? 未咲が勝手に決めちゃって」
未咲「えっ、いいの? なんか、もはや一択しかない気もするけど……」
不自由さに眉をひそめつつ、息を大きく吸ってその選択肢を口にする。
未咲「じっ、じゃぁ玲香ちゃんルートで!」
玲香「まどろっこしい言いかたしなくていいから」
なんたって現実だし。というか、なにばかみたいに顔まっかにしてるのやら。
♦
ふたりきりになったとたん、玲香ちゃんがあからさまにもじもじしだす。
未咲「見てよ玲香ちゃん! きょう雪すごい降ってる……ん? どったの?」
玲香「……っ」
ひさしく見せなかったその表情。
まるで幼い子が、必死になにかを我慢しているような、そんな顔だった。
未咲「おしっこ、かな? 我慢できないんだったら、もういっそのこと……」
玲香「……っ!」
図星をつかれて恥ずかしかったのか、からだを急激に縮こまらせて硬直した。
未咲「ほんとうのことを言ってね? ぜーんぜん恥ずかしくないんだから!」
玲香「……」
その言いかたは、まるでほんとうに小さい子に言い聞かせるように聞こえた。
玲香ちゃんのもじもじは、そう言ってからもだんだん強くなっていって……。
未咲「知ってた? おしっこはね、たっぷり漏らすために存在するんだよ?」
玲香「……」
いつもの玲香ちゃんだったら、いまごろ「は?」の一言くらいはくれている。
ただ、なぜかこのときだけは「ときめき」のようなものに苛まれていたよう。
いまここでおしっこをめいっぱい漏らせば、きっとたくさんきもちいい、と。
♢
雪の結晶が、わたしたちの目の前でくっきり見えるようになり、歪んでいく。
うしろめたい感情は、徐々にその透明な結晶の中にすべて吸収されていった。
子どもの頃、ふくらませた風船が大きな音を立てて割れてしまうことを知る。
空気と水――性質は違えど、かんたんなしくみは誰の目にもあきらかだった。
♢
玲香「んんっ……!」
未咲「玲香ちゃん?!」
ふだん聞かないくらいの、とても甲高い声だった。
それと同時に、下半身の広がりから、せきを切ったように小水があふれだす。
玲香「やだぁっ……おし、こ、もらしちゃ、ったぁ……!」
声をふるわせながら、さながら子どもが発するような声で玲香ちゃんがむせぶ。
ほんとうに子どもに還っちゃったみたいだ。幼児退行と言っても差し支えない。
この子、じつはいま5歳なんです――は言い過ぎにしても、かなりそれに近い。
女子校生にあるまじき失態。この事実を客観的に捉えたとき、人はどうなるか。
未咲「はわわ……」
常習犯であるわたしは、この目の前の光景をすこし楽しんでいた。
ただ、このときの玲香ちゃんはいままでとはどこか違っていて新鮮味を感じる。
――こんな玲香ちゃん、見たことない!
くしゃくしゃになった泣き顔はもちろんのこと、そのほかも凄かった。
下を向きながら、がっつり前押さえをしていて、なおかつ内股でくすぐられる。
たちまちわたしの内側から、いけない気持ちが芽生えてきそうになる。なった!
どきどきが止められない。もう止めたくない!
玲香ちゃんがこぼしたそれは、すぐ下に積もっている雪も簡単に溶かしていく。
それを舐めとるのは衛生的に無理だとしても、太腿についたそれならあるいは!
玲香「ちょっと未咲! いきなりどうしたのよ……っ!」
未咲「えへへ……玲香ちゃんの匂い嗅いでたらなんだかおかしくなっちゃって」
玲香「おかしいって……何がどうおかしいのか、ちゃんと説明してよね……!」
目の前に見える玲香ちゃんのパンツから、格別に美味しい水が染み出し続ける。
もちろん、わたしにとって。みんなにはどうかなんて、確かめようもないけど。
我に返った玲香ちゃんも可愛いけど、やっぱりやっちゃいたてがピークだった。
いまもずっと噴き出し続けていて、まるで已むことのない春の泉みたいだった。
未咲「むかしからずっとおいしいなぁ……玲香ちゃんのおしっこ……」
玲香「よくもこんなものを嫌な顔一つせず平気で飲もうだなんて……」
正直に言って、あほだ。どうあがいたって、救いようのないタイプだ。
それでも関係をやめられないのは、未咲のこの屈託のない笑顔のせい。
未咲「このにおいも、わたしが小さいころからずっと変わらない……」
玲香「離れなさいよ、まだぜんぜん出し切れてな……ひゃうぅぅん!」
おなかの内側から絞り出すかのように、絶えず玲香ちゃんは失禁を繰り返す。
それがいとおしくてたまらなくなって、わたしは玲香ちゃんをいじり続ける。
未咲「もうすっかり蒸れ蒸れだね……わたしの家でひとっ風呂浴びなきゃね♡」
玲香「うぅっ……」
やむことのないおしっこの雨に、すっかり気はどうにかなっちゃっていて。
未咲「じつはね、わたしもずっとがまんしてたんだ……」
玲香「だったらなんだっていうのよ……!」
未咲「わかってるくせに……」
あやしく笑って、わたしも玲香ちゃんと同じ状態になるべくすとんと腰を下ろす。
体育座りになったわたしは、やさしい呼吸を意識しつつ、冷えたおしりをなでた。
未咲「もうね、こーんなにたまってるの」
手で膀胱のかたちをつくり、それが満杯であることを簡潔に示した未咲。
心なしか呼吸も早く、荒く感じる。未咲はそのときをいまかいまかと待っている。
未咲「んふふっ、出すね」
このときの未咲は、どこか慈悲深い母親のような瞳で、不覚にも興奮した。
わたしの尿量は増し、そろそろクライマックスに迫る勢いになりかけていた。
未咲「あっ♡」
しあわせそうな笑みを浮かべつつ、排泄の快楽に身をゆだねる未咲。
誰よりも気持ちよさそうだった。
玲香「あんたのほうが何倍もさまになってるの、わたしの思い違いかしら?」
未咲「そんなこと、ないと思うよ……わたし自身、びっくりしてるし……」
なんだかおたがいにどこか会話がふわふわしていて、着地点が見えづらい。
未咲「思い出すなぁ……わたしが間に合わず何回もやっちゃったこととか」
玲香「当然のようなことを言うのね、未咲って」
未咲「そうかなぁ……」
ふたりにとって、これ以上ないしあわせな(?)時間を過ごしていた。
未咲「なんだかもうわたし、おうちに帰らなくてもいい気がしてきた……」
玲香「そこは曲げちゃだめでしょ……」
予定していたとおり家には行って、文字通りきれいさっぱりすることができた。
これほど昂揚する時間は、もう二度と過ごせないかもしれない。
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