Fear

家々田 不二春

魂の味

自分。

君。

その境界とはなんなのだろう。

肉体だろうか。

君と手を繋ぐ。

この手が溶け合う。

手と手が混ざり合う。

肉体が繋がれば一つになれるのか?


答えはNoだった。


君と僕の意識が同じでなければいけないのだから肉体が同一であれば良いという訳ではないのだ。そもそも溶け合うこと自体が不可能である。


ではどうすればいいのか。


何か意識が同調している物体がないだろうか


その答えは「魂」だ。


魂はどこに存在するのだろう?

場所は特定できない。

でも昔、こんな実験の話を聞いた。


死亡する直前の人間を用意する。

そしてその人間が死ぬ直前、

それから死んだ直後の体重差を測るのだ。

結果は死んだ後の方が軽かったらしい。


これは魂が抜けたと考えていいだろう。


その抜けた魂を回収するのだ。


静かな森で君と向き合う。

右手の物体を強く握る。

君の首にナイフを刺す。

流れる血、音になっていない悲鳴。

だんだんと冷たくなる君の手。


そして君の魂。


魂は君の口から出てきた。

魂は実態のない靄のようなものだった。

それをひと息に吸い込む。






最高の気分だ。




君と




一つに




なれた。

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