アルダニアンの特殊機能
「はあっ!」
マリーの気合いの声と共にアルダニアンが突進の加速を乗せた槍をミッシェルが乗るゴーレムトルーパー、その上半身の騎士へ向けて放つ。
今回の模擬戦では実際に戦闘不能にならなくても、ある一定以上のダメージを受ければ遠くから模擬戦を監視している審判に「戦闘不能」扱いとされる。マリーは上半身の騎士に攻撃を当てて向こうが持つ槍を落とせば、それまでヴォルダートとザウレードから受けたダメージも合わせてミッシェルのゴーレムトルーパーは「戦闘不能」扱いになるだろうと考えたのだ。
しかしミッシェルはそんなマリーの狙いをすでに見通していた。
『甘いわ!』
ミッシェルの乗るゴーレムトルーパーは後ろや左右へ逃げるのではなくむしろ前にと駆け出し、マリーの槍を紙一重で避けるとそのまま彼女の背後へと回り込んだ。
「そんな!?」
『マリー、お前に戦い方を教えたのが誰だか忘れたか? 今度はこちらの番だ!』
『………!』
驚くマリーに答えたミッシェルが指示を出すと、彼の乗るゴーレムトルーパーはマリーの方へと方向を変えると同時にある変化を見せた。下半身の馬が首を前に倒すと、馬の胴体にある装甲が馬の頭部と首に集まり変形をして、巨大な馬上槍のような形にとなったのだ。
「くっ……!?」
下半身の馬の頭部と首を巨大な馬上槍にしたミッシェルのゴーレムトルーパーは、更に加速をするとマリーのゴーレムトルーパーへと突撃をしてきた。彼女はその攻撃を何とか避けようとするのだが避けきれず、馬上槍によって機体の装甲を削られてしまった。
ミッシェルのゴーレムトルーパーは、マリーのゴーレムトルーパーに突撃をして傷を追わせると、再び背後に回り込んで方向転換を行い突撃をしようとする。
『どうした? このまま反撃をしないつもりか?』
「……では反撃をさせてもらいます。アルダニアン!」
『………!』
突撃をしながら挑発をするミッシェルにマリーは短く答えると、自分のゴーレムトルーパーに指示を出す。するとその次の瞬間、アルダニアンが一体から五体に増えた。
これがアルダニアンの持つ特殊機能。自分の周囲に精巧な
『ほぉ……本気というわけか、面白い!』
マリーが自分のゴーレムトルーパーの特殊機能を使ったのを見たミッシェルは操縦室の中で好戦的な笑みを浮かべると、五体のアルダニアンの内、中央にいる一体に狙いを定めて突撃をする。
『………』
『チィッ! 外れか!』
ミッシェルの馬上槍はアルダニアンの一体の胴体を容易く貫くのだが、貫かれた瞬間にアルダニアンの機体は幻のように消えた。そこで彼は自分が貫いたのが本体ではなく
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