家でははしゃぎ、外では静かな高校生

第1話 大人しくなった訳

弟は家で、学校内の出来事をよく話してくれる。

だから最初は「学校の友達とも上手くやっているんだなぁ～。」と感心し、喋らないなんて一切疑わなかった。

弟が学校で喋らないことを知ったのは担任教師が各家庭を訪問する「家庭訪問」の時に直接言われ、驚愕した。

「冗談はやめて下さいよ～。弟は家ではめちゃめちゃ喋るんですよ？今日は学校で○○があったんだよ～っていつも笑顔で楽しそうに。物静かなんて事は…。」

と言ったが担任の先生は真剣な顔で「本当に静かなんですよ！嘘とか冗談とかじゃなく本当なんです！」

何故、高校生になってから弟は学校で喋らなくなったんだ？

中学までは、よく友達を家に招き入れていた。そんな弟が突然、学校で喋らなくなるなんて、余程の理由が無い限り考えられない。

弟が帰宅後に訊いてみたら「ちょっと…ね。でも大した理由じゃないよ？なんて言うかな？合わないって感じだよ。上手く説明は出来ないけどさ。」

若干、はぐらかされたが弟が言う限り人間関係なのかな。

確かに、中学から高校に行って、環境が大きく変化した。周りの友達も中学の時とは違う(弟が在籍していた中学から同じ高校に進学した人は数人いる)。

この環境の変化が喋らなくなった理由なら、色々なケアをする必要がある。しかし、弟から話をはぐらかされている以上詳しいことはよく分からない。